2019/05/13
インタビュー
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想定しない事態でも生き残れる「判断・対応・技術力」を
首都圏に本社を置く企業などから、巨大地震が発生した際の津波被害について、どう備えればいいのか不安の声が上がっている。現在、首都圏における津波被害想定としては、東京都が1703年の元禄関東地震が起きた場合を最悪のシナリオとし、23区内では最大2.61メートルの津波高になると試算している。一方、神奈川県では、1605年の慶長地震が起きた場合を最悪のシナリオとし、横須賀市で9.2メートル、横浜市4.4メートル、川崎市3.5メートルと想定するなど自治体によって被害想定には大きな差がある。想定される被害や必要な対策についてどう考えればいいのか、東北大学災害科学国際研究所所長の今村文彦氏に聞いた。
津波が高くなくても旧埋め立て地などで浸水
2年前ほど前から、東北大学災害科学国際研究所では、首都直下地震や南海トラフ地震における津波も含めた総合的な対策を研究するためのプロジェクトを、東京大学地震研究所と富士通株式会社、川崎市とともに開始し、今、少しずつではありますが、その成果が見えてきたところです。
この研究では、神奈川県が出している津波浸水想定などを参考に、川崎市に3メートル程度の津波が来ることを想定して影響を分析(図1参照)しているのですが、津波がそれほど高くないとしても、川崎市の場合は浸水エリアがとても広く、被害はかなり大きくなることが分かってきました。特に川崎市は沿岸部の工業地帯のほとんどが埋め立て地です。最近の埋め立て地は、比較的に地盤が高く海抜3メートル以上あるので、津波が遡上(そじょう)しない可能性もありますが、昔の埋め立て地帯は海抜2メートルぐらいと低く、浸水の可能性がかなり高いと考えられます。護岸もだいぶ古いものも多くて地震により壊れる可能性もあります。工業地帯では、その多くが企業さんの私有地になるので、その管理や維持も、行政が支援しにくく対策が難しいのが現状です。つまり、津波高が高くないからといって決して油断はできないということです。
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