ハンドル切るよりブレーキを

事故にあった際はもちろん、地震の際、落下する橋の手前で急ブレーキを踏めば命が助かるという場面もないわけではありません。いざというとき、私たちは適切にブレーキを踏めるのでしょうか?

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実は、クルマの実技試験には急ブレーキは入っていないのです。だから免許を持っているからといって、体験しているとは限らないのです。ご存知でしたか? 急ブレーキを練習していなかったなんてちょっと衝撃です。

でも、自動二輪(オートバイ)の実技試験には急ブレーキの課題があるのです。たとえば中型自動二輪以上の場合、時速40キロの状態から11メートル(路面が濡れていたら14メートル)以内に停止できなければ、免許はもらえません。ですから自動二輪のバイクに乗っている方は、急ブレーキ体験のある方ということになりますね。

(※上記2段落の「実技試験」の前に「教習課程や」とありましたが、実施している施設もあるので削除しました 2019年5月22日)

ブレーキを踏んだ場合の効果は大きいです。衝突エネルギーは速度の2乗に比例します。ということは、減速さえできれば被害規模は2乗に比例して小さくすることができるのです。被害を2乗に比例して小さくできるなんてブレーキってけっこうすごいかもと思います。時速40キロを20キロまで落とせたら、衝突エネルギーは半分ではなく半分の半分=4分の1まで減らせるのが、ブレーキなのですね!

とはいえ、クルマがぶつかってきそうになったら、なんとかハンドル操作で切り抜けたいと思ったりしませんか?

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映画のカーアクションでは、華麗なハンドルさばきがありますよね。ゲームではコントローラーをテクニカルに操作して危機をすり抜けたりします。そんな光景に慣れていると、ブレーキよりはハンドル操作でその場をしのごうと思いたくなるのも無理はありません。ところがです。個々の状況によるのはもちろんですが、プロのドライバーはこぞって、ブレーキ優先を口にされます。

■ブレーキやハンドル操作、技能を再確認 京都でシニア向け講習(Yahoo! ニュース 2019年5月12日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190512-00000007-kyt-l26

なぜでしょう? それはハンドルをとっさに切ることができるとしても、とっさなので持ち替えまでは難しいと考えると、180度までしか切ることができません。そして、ハンドルを180度切れば、180度車が曲がるかといえば、そんなことはないのです。