2019/05/17
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
ESCでスピン防止
また、ハンドルを切った状態で急ブレーキを踏むとなると、クルマがスピンするのではと思っていませんか? 最近のレーシングゲームはここがリアルになっているらしいですが、昔のゲームだとドリフトとかスピンがお約束という時代もありました。だから、ハンドルを切って急ブレーキなんて考えた事もないとおっしゃる方もいます。でも、実物のクルマの性能はどんどん進化しています。ESCの付いているクルマなら、スピンはまずしません。
ESC(Electronic Stability Control System)の一般的な日本語訳は「電子制御横滑り防止装置」です。急ブレーキや急ハンドルを切った際、タイヤが滑ってスピンやコースアウトしないように、4輪のブレーキ力やエンジン出力を適切に制御する装置です。コンピューターがクルマのスピードとハンドル操作を監視しており、ドライバーが進みたいと思っている方向を推測して制御します。
JP|BoschESCーESCはどのように機能するのでしょうか(出典:YouTube)
上記の動画がとってもわかりやすいです。ESCが作動すると、人間だったら決してできない、4つのタイヤをそれぞれ、タイヤ別にブレーキをかけたり、かけなかったりして、進みたい方向を維持している状況に、クルマは進化して頑張っているんだなあとしみじみと感じ入ります。
ちなみに、米国高速道路交通安全局(NHTSA)の2006年の調査・研究報告では、ESCをすべてのクルマに装着した場合、致命的な単独事故を乗用車で34%、SUVで59%低減できると報告されています。クルマに関心がない人も見てほしいです♪
このESCにより、クルマは横に滑らず、前輪の向いている方向に進むようになっています。だから、衝突回避でハンドルを切ったあとでも、ハンドルを元に戻すことが可能になっています。ただ気をつけなければいけないのは、ドライバーが適切なハンドル操作を行わないと、危険は回避できないし、タイヤのグリップ限界を超えた制御もできません。
ESCが付いていると、人にはできない技を繰り広げてくれるので、運転がうまくなったように錯覚できてしまうけれど、自動で何でも助けてくれる装置ではありません。装着車であることをきちんと知った上で、クルマに事故回避の意思を伝えるべくハンドルを切ったら元に戻すなどの動作をしないといけないですよね(装着車でなければ、これをすると事故の規模が大きくなる可能性もあります)。
そんなわけで、急ブレーキを踏み込む場面で、適切に踏み込めるように、そして、ハンドル操作も的確にできるかどうか知るために、クルマにABSやESCが付いているかチェックしてみてください。
ABSはほとんどのクルマにはついていますが、気になる方はトリセツを見ればわかります。
ESCについては以下のスケジュールで装着が義務化されているので、それ以降のクルマなら付いています。
登録車(軽自動車より大きい乗用車):
2012年10月1日以降に発売された新型車(フルモデルチェンジ含む)および2014年10月1日以降に販売されたすべての新車。
軽自動車:
2014年10月1日以降に発売された新型車(フルモデルチェンジ含む)および2018年2月1日以降に販売されたすべての新車。
ただし、ESCは自動車メーカーによって商品名が違います。
日産:VDC
ホンダ:VSA
マツダ:DSC
スバル:VDCまたはVSC
スズキ:ESP
ダイハツ:VSC
三菱:ASC
わからなければディーラーに確認してみてくださいね。
その他、ブレーキアシストというブレーキを補助する機能があります。力の弱い高齢者や女性などであっても、急ブレーキがかけられます。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
-
組織ごとにバラバラなフォーマットを統一
1月3日、サイボウズの災害支援チームリーダーである柴田哲史氏のもとに、内閣府特命担当の自見英子大臣から連絡が入った。能登半島地震で被害を受けた石川県庁へのIT支援要請だった。同社は自衛隊が集めた孤立集落や避難所の情報を集約・整理し、効率的な物資輸送をサポートするシステムを提供。避難者を支援する介護支援者の管理にも力を貸した。
2024/04/10
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月9日配信アーカイブ】
【4月9日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:安全配慮義務
2024/04/09
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方