2019/05/17
防災・危機管理ニュース

東京都は17日、「東京マイ・タイムライン」と題した大雨や台風に備えたマイタイムライン作成支援キットを発表した。通常の配布版のほか6月中旬からデジタル版も配信され、スマートフォンやパソコンからも作成・保存が可能となる。
通常の配布版はガイドブック、シート、シールが入っている。台風の接近、長引く大雨、短時間の急激な豪雨の3つの現象を対象にし、シートにタイミングにふさわしい行動シールを貼るなどして作成する。小学校低学年と高学年、中学校、高校、一般の世代別に5種類を用意。多摩地域の土砂災害や区部東部の大河川の洪水など、都内各地で起こりうる風水害への対応を意識し、地域特性に応じた作成も促すようになっている。また近所の高齢者の手助けや同僚の避難受け入れといった、地域や職場における行動の呼びかけもガイドブックには記載されている。
6月上旬から学校を通じ都内の児童・生徒に配布し、家庭で話し合い作成するきっかけ作りを狙う。東京消防庁や区市町村と連携したPRも行うほか、作成講座の実施や作成を指導できる人材育成の取り組みも行う。
東京都防災ホームページからPDFによるダウンロードは17日から可能となっている。これとは別にデジタル版の配信は6月中旬から行う。デジタル版は入力フォームが置かれ、スマートフォンやパソコンで入力。作成した内容を端末に保存する仕組みを予定している。
さらにスマートフォンの「東京都防災アプリ」に「水害リスクマップ」と題した都内で想定される洪水や高潮による浸水や土砂災害といった、水害リスクを確認できる機能も6月中旬に追加する。GPSと連動し近くの危険性の把握もできる。
都では東京都地域防災計画水害編を2020年度前半に修正する予定。国などと連携した大水害時の広域避難のほか、区市町村タイムラインやマイタイムラインの普及拡大も含めた、逃げ遅れゼロへの取り組みを盛り込む方針だ。小池百合子知事は17日の記者会見で「水害時の避難行動の心構えが重要。『東京マイ・タイムライン』や『水害リスクマップ』を活用し備えてほしい」と述べた。
■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/05/17/05.html
■関連記事「災害対応強化費3割増、小池色前面に」
https://www.risktaisaku.com/articles/-/14748
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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