これからのボランテイアセンターのあり方(5月12日のFBより)

室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
2016/05/12
室﨑先生のふぇいすぶっく
室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
少しくどいですが、これまた熊本地震の見て歩きの感想です。
どこの被災地に行っても、被災者も行政職員も必死にそして献身的に、被災者と被災地の支援と復旧の活動に当たられていることに、感動を覚えました。それに加えて、全国からも行政職員の支援、社協の皆さんの支援、看護師や重機ボランテイアなど専門ボランテイアの支援、そして何よりも多くの一般ボランテイアの皆さんが駆けつけて、様々な支援活動が行われていました。何もしない私から見ると、本当に頭が下がる思いです。確実に、支援文化やボランテイア文化が、進化していると実感しました。
西原村のボランテイアセンターに、お邪魔をさせていただきました。そこで、うれしく思ったことを一つコメントしておきます。それは、被災者とボランテイアの距離を近くする取り組みが、様々な形で展開され、それが大きな成果を上げていることが確認できたことです。
その一つは、壊れた神社の後片付けと再建を地域の被災者とボランテイアが一緒になって取り組んでいたことです。神社は地域の人々の心のよりどころで、その再建は地域をまとめるうえでも、被災者に希望を与えるうえでも、キーになる活動です。それをボランテイアが被災者に寄り添って、一緒になって取り組み、地域の人々の信頼を勝ち得ていました。
もう一つは、ボランテイアセンターをサテライトにして、被災地ごとに、その近くに設置していたことです。これは、私たちが2年前の丹波水害で行った方式と同じです。被災者との距離を埋めるうえでも、被災者のニーズを拾い上げるうえでも、有効です。今回の西原村でも、このサテライト方式が有効に機能しており、ボランテイアと被災者の間に顔の見える関係が成立していました。シーズとニーズのマッチングをオンサイトで進めることの必要性と有効性を確認した次第です。
もっとも、ごく一部しか見ていませんので、上述の私の印象と判断は間違っているかもしれません。ただ、これからのボランテイアセンターのあり方を考えるうえでの、参考にしなければと思いました。
室﨑先生のふぇいすぶっくの他の記事
おすすめ記事
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方