通電火災はなかったと断言すべきではありません【熊本地震】(5月18日のFBより)

室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
2016/05/18
室﨑先生のふぇいすぶっく
室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
熊本地震のつぶやきの続きです。
熊本地震での火災についてです。神戸大学の北後先生の後ろについて、火災現場を見て回りました。その時、私が感じた印象を、以下に述べておきます。
火災について、3つの必ずしも正しくない報道が、メディアなどからされています。
1つは、火災件数が少なかったというものです。20件弱という火災件数は、絶対数でみると阪神や東日本の1/10で少ないのは確かです。ただ、火災は、震度6以上の地域の人口当たりあるいは世帯数あたりで、多いか少ないかを見るべきです。熊本の震度6以上の地域の人口は阪神大震災の1/15程度なので、地震が2回あったのでそれを換算しても1/10程度となるので、決して少ないとは言えません。
2つ目は、深夜で昼食時を外れていたので火災が少ないというのも、不正確です。これについては、阪神・淡路大震災が5時台でありながら、なぜ火災が多かったかを考える必要があります。最近は、裸火以外の火災が多くなっているので、あまり時間は関係していないと思います。
3つ目は、九州電力の言い分を鵜呑みにして、通電火災はなかったとされていますが、これも間違いです。私の知る限り、熱帯魚の水槽から水が漏れて、ヒーターが投げ出された状態で、通電されたために火災になったという、事例があります。
いずれにしても、神戸大学の北後先生や火災学会の詳細な結果を待つべきで、通電火災はなかったと断言すべきではありません。
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