2019/05/27
知られていない感染病の脅威
結核の撲滅のために
国内
結核菌感染→発病→結核菌感染→という結核菌の連鎖的な拡散が世界中で起きています。これを断ち切ることが結核撲滅の基礎です。そのために次のような活動が国内で行われています。
1. 新生児へのBCG接種を励行し、結核菌に対する抵抗性を持たせる。
2.結核菌感染者(子ども、若年層)に、抗結核菌薬剤を服用させ発病を防ぐ。
3.早期発見のための健康診断を行って、早期に治療する。
4.診断された発病者を有効な化学療法で治療して感染源を断ち切る。できるだけ早く健康な生活に復帰させる。
5.その他、結核罹患者や家族への様々な指導、結核罹患者の登録制度の確立、結核流行監視(サ-ベイランス)、各種結核対策従事者の訓練なども結核対策として実施する。
国外
開発途上国を中心に結核が大発生しており、各国はその対策に追われています。 現在の治療は、短期化学療法が本流ですが、抗結核薬の服用を中断する事例があまりに多く壁に直面しています。薬剤の服用中断は、結核が完治しないどころか薬剤耐性菌を生み出す原因となり、治療に大きな障害を引き起こしています。薬剤耐性菌は世界中に分布しており、結核患者数が減少しない最も大きな要因となっています(図)。
WHOの結核対策本部では「薬を患者には手渡さないで、毎日外来に通ってもらい、職員の目の前で飲ませる」方式を打ち出し、これをDOTS(直接監視下短期化学療法:Directly Observed Treatment, Short course)として、結核の標準的な治療方式としました。 これが次第に普及して大きな成果を挙げています。
結核多発国を含む国外からの人たちを迎えるに当たって
前回触れましたが、今後、結核多発国から青年層を中心とした多くの人たちが日本に来て、国内各地の企業などに就労して長期間生活するケースが非常に多くなることが予想されます。これらの人たちと国内のいろいろな場所で接触する機会が増えることも予想され、来日する人、迎えて共に業務に携わる人などあらゆる場所で関係する全ての人たちが、結核による被害を受けることなく健康な状態で共に活動することが何より重要です。
そのためには、国外から来る人たちが健康であることがまず重要です。さらに、日本国内での就労期間中、公私において無用なストレスが生じないような多方面での細かい配慮、定期的な健康診断などが不可欠です。発病した場合の診療体制も整えておくことが肝要です。
また、国外から来た人たちと直接接触する国内側の人たちの健康維持も大変重要です。結核防疫の面から、ツベルクリン反応などの定期的な実施、陰性の場合のBCG接種は必須になるでしょう。
筆者が子どもであった昭和20〜30年代は、当時の大人の多くの割合が結核菌に感染していたため(多くは不顕性感染でしたが)、一度BCG接種を受けておけば結核菌に対する終生免疫が成立すると言われていました。その年代の人たちの多くは他界し、結核菌感染経験のない大人たちが大部分である世代に移行しています。従って、日本国内で生活する限り、通常では、結核菌に感染する機会はかなり少なくなっていると考えられます。
現在、BCGを一度接種すれば終生免疫が成立する時代ではなくなっています。BCG接種後の有効期間は10〜15年であることを考慮するならば、成人においても、ツベルクリン反応などの定期的な実施、陰性の場合のBCG接種が必須になっているのではないでしょうか。
次回は、結核菌以外の抗酸菌症について解説する予定です。
(了)
知られていない感染病の脅威の他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/06/23
-
W杯に水を差したDAZN契約プラン表示が原因で大炎上
世界最大のスポーツイベントであるサッカーのW杯が6月12日に開幕。日本は1勝1分けで決勝トーナメント進出を大きく引き寄せている。その裏でW杯の視聴契約を巡ってSNSで大炎上していたのが、スポーツコンテンツの配信会社であるDAZNだ。W杯の全試合を視聴できる年間契約プラン表記に問題があり、13日にお詫びを発表した。しかしその対応も反感を買い、炎上は継続。最終的には年間プラン自体を取り下げた。DAZNの何が問題だったのか、消費者問題に詳しい住田 浩史弁護士に聞いた。
2026/06/23
-
-
-
-
企業の副業解禁とコンプライアンス対策を支援
企業の副業解禁の流れが加速している。従業員は本業以外の労働を増やすことで、収入増が見込める。従業員が副業で獲得したスキルで、本業への貢献も期待できる。企業側にとっても、副業は採用活動に活用できる。業務発注から関係を深めてからの転職や採用後のミスマッチを防止する効果がある。一方で、副業の一般化に伴い、同業他社での競業や情報漏えい、ブランド毀損、過重労働など、副業リスクは増加している。フクスケ(東京都千代田区)は、企業の副業制度の運用支援に加え、副業コンプライアンス向上に関するデータを分析し、リスク診断サービスも提供している。代表取締役社長の小林大介さんに、企業の副業解禁がもたらす影響について話を聞いた。
2026/06/12
-
-
-









※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方