2016/05/24
誌面情報 vol55
素早い状況把握と実務にかなった
導入のきっかけ
「発災時の初動で最優先すべきなのは被害の全体像をつかむことです。現場は被害情報の第一報を迅速に送信し、受け取る側はその情報を即座に整理して状況の大枠をとらえなければなりません」と説明するのは鈴与・危機管理室長の後藤大輔氏。ひとたび災害が起これば、鈴与グループの危機管理委員会は約140のグループ各社から情報を吸い上げて被害の全体像を把握し、さまざまな決断を速やかに下さなければならない。
鈴与グループの災害対応の中枢となるこの危機管理委員会は鈴与の役員やグループ会社の社長など14人が委員を務める。委員長はグループの代表である鈴木与平会長だ。発災時に委員はそれぞれが代表を務める部門やグループ会社に事業別対策本部を設置し、事業ごとに振り分けられたグループ各社を統括する。この方法で全てのグループ会社の危機管理を行っている。
後藤氏が中心となり、試行錯誤を繰り返しながら災害対策を改善してきた鈴与グループ。本社の対策本部室に入るとその成果が手に取るようにわかる。机やホワイトボードなどは床にしっかり固定され、重要な緊急連絡先はすべて見やすく整理され壁に張られている。非常電源や通信機器をはじめとした装備品をそろえ、災害時に無用の長物にならぬようメンテナンスと使用方法の確認を怠らない。とはいえ、対策に力を注ぐ鈴与でも課題が少なからず残っていた。求めていたのは被害状況を「うまく」把握する方法だった。
誌面情報 vol55の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
-
組織ごとにバラバラなフォーマットを統一
1月3日、サイボウズの災害支援チームリーダーである柴田哲史氏のもとに、内閣府特命担当の自見英子大臣から連絡が入った。能登半島地震で被害を受けた石川県庁へのIT支援要請だった。同社は自衛隊が集めた孤立集落や避難所の情報を集約・整理し、効率的な物資輸送をサポートするシステムを提供。避難者を支援する介護支援者の管理にも力を貸した。
2024/04/10
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月9日配信アーカイブ】
【4月9日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:安全配慮義務
2024/04/09
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方