ペット死傷で慰謝料も

ペットが死傷した場合、発生する損害の種類は物的な損害になるが、飼い主の大切な家族であるペットについては、特別の主観的・精神的価値を有し、財産的損害の賠償を認めただけでは償い得ないほど甚大な精神的苦痛を被った場合には、例外的に慰謝料が認められるとする裁判例が多い。

例として、平成20年(2008年)9月30日名古屋高裁判決では、ペットに関する慰謝料について、「飼い主との間の交流を通じて、家族の一員であるかのように、飼い主にとってかけがえのない存在になっている」「動物が不法行為により重い傷害を負ったことにより、死亡した場合に近い精神的苦痛を飼い主が受けたときには、飼い主にかかる精神的苦痛は主観的な感情にとどまらず、社会通念上、合理的な一般人の被る精神的な損害であるということができる」旨を判示した上で、第二腰椎圧迫骨折に伴う後肢麻痺の傷害を負った飼い犬について、飼い主との交流を通じて家族の一員であるかのように、かけがえのない存在になっていたと認定し、飼い犬の負傷の内容や程度、飼い主らの介護の内容程度などを考慮して、飼い主2名に対しそれぞれ20万円、合計40万円の慰謝料を認めている。

当該事案はペットが死亡していないにもかかわらず、高額な慰謝料を認めた特殊な事例ではあるが、慰謝料が認められた判例として参考になる。

■判決情報
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/950/036950_hanrei.pdf
事件番号:平成20(ネ)483
事件名:損害賠償請求控訴事件
裁判所:名古屋高等裁判所 民事第4部
裁判年月日:平成20年9月30日
1交通事故によりペットである犬が負傷した場合において、治療費、慰謝料などを損害として認めた事例
2車に同乗させていた犬が交通事故により負傷した場合において,犬用シートベルトなど動物の体を固定するための装置を装着させるなどの措置を講じていなかったことを理由に過失相殺を認めた事例