人命第一も重要な動物救助

一酸化中毒で意識を失った猫への早急な心肺蘇生法と酸素投与で見事に蘇生成功!


GoPro: Fireman Saves Kitten(出典:YouTube)

災害時における動物への対応については災害対策基本法に基づく防災基本計画や動物の愛護および管理に関する法律が存在するものの、獣医師会と消防・警察・自衛隊などの相互連携・遠隔支援システムについては十分に整備されているとはいえない。

また、現行の獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針(2010年8月、農林水産省。現在、獣医事審議会計画部会にて新しい同指針について審議中)には災害時における動物への医療に関する言及自体がない。

しかし、近年の自然災害の増加に伴い、人道的にも動物愛護の精神からも災害で被災した動物の救命・救急・救助・救出・救護は喫緊の課題であることは、東日本大震災で改めて明らかになった通り、放置された動物による人への咬傷(こうしょう)被害、人への感染症のリスクも存在する。

このような状況のもと、災害現場での人命救助は優先しながらも、動物の救命措置については二次災害の危険があるため消防・警察・自衛隊(軍)による活動が大変有益であり、実際米国では大きな成果をあげている。

しかし、日本では前述の法律やシステムの未整備などから消防士・警察官・自衛隊員による災害現場での動物の救命措置は十分に組織化されていない。

そこで、環境省、総務省消防庁、厚生労働省の担当者、獣医師会の先生方に日本国における消防士・警察官・自衛隊員による災害現場での動物の救命措置について、その問題点や解決策について見解を賜りながら、法的な整備を進めていく必要があると思う。

例えば、火災や交通事故、自然災害現場で、消防士や自衛官、警察官などが心肺停止の家庭動物(犬、猫、小動物)に目の前で遭遇し、一刻も早い救急救命処置を要する必要があっても、獣医師は消防隊と同じタイミングで現場出動することはない。