2019/08/30
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
被害広げた火災旋風
この時、もっとも被害がひどかったのが、旧陸軍被服廠(ひふくしょう)跡地でした。被服廠とは、
https://ja.wikipedia.org/wiki/被服廠 より引用
陸軍の軍服を作っていた場所です。広さは7万平方メートル。関東大震災の前年に被服廠は引越し済みだったので、東京ドーム2個分の広い空き地がそこにあったのでした。火事が起きると今の私たちでも空き地を目指しますよね。避難場所も公園のような広い場所であることが多いです。隅田川沿いのこの広い空き地に多くの人が集まったのも当然です。
この場所に襲来したのが炎が竜巻状になった、火災旋風です(厳密には旋風なので竜巻とは違います)。空き地に来てやっと火から逃れたと思って安心していたであろう人々を容赦なく襲った火災旋風。実はまだメカニズムがわかっておらず、それゆえ対策もたてられていないのです。
そこでわたしたちは、火災域の風下に発生する旋風の発生を予測できるよう、その性質・発生メカニズム・発生条件を、さまざまな規模の実験をとおして調べています。 これまでの実験で、火炎風下の床面(地表面)付近には、旋風の源ではないかと思われる数種類の渦が発生していることがわかってきました。さらに、これらの渦の形成過程には、横風に逆行する空気の流れなど、火炎風下の複雑な流れが関与していることなども明らかになりつつあります。
消防庁 消防大学校 消防研究センター http://nrifd.fdma.go.jp/research/seika/kamitsu_toshi/senpu/index.html より引用
下記の図は、上記の内容を説明したものです(引用 前述に同じ)。
原因がわからないものの、2018年にはイギリスやカナダでも火災旋風が報告されています。こちらはカナダで撮影された動画。消防ホースまで巻き込まれていくことがわかります。
実際に旧陸軍被服廠跡地では、建物も大八車も人も飛ばされ、鉄塔は溶けて折れ曲がって飛び、なかには15メートル先まで飛ばされた人もいたという記録が残っています。
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