2019/09/02
安心、それが最大の敵だ
幕末から維新、武器商人の暴利
出口:(幕末の)薩英戦争や下関戦争は、幕府も朝廷に引きずられて形式上攘夷の方針を出していたとはいえ、実質的には薩長の過激派が勝手にやってしまったことですよね。その賠償に支払で幕府の財政は大変なことになりましたが、これら戦争をやった結果、薩長の若手は「尊皇攘夷はアカンな」と目が覚めたわけです。その意味では、日本にはプラスになりましたよね。
半藤:薩英戦争にしろ下関戦争にしろ、コテンパンにやられてしまって、「尊皇攘夷」というスローガンを掲げていたはずなのに、それがいつの間にか「尊皇倒幕」に変わってしまいました。その契機になったという意味では、のちに討幕を果たした西軍(薩長を中核とする新政府軍)の連中にとっては良い教訓材料でしたね。
出口:あの両戦争を通じて、薩長もやはり(開明派老中)阿部正弘の「開国・富国・強兵」路線しかないと思い知った。
半藤:薩長の上層部も、頭のいい連中は、最初から分かっていたと思いますけどね。本音は「倒幕」だったのに、方便として「攘夷」を掲げていただけですから。
出口:とはいえ、本気で攘夷を望んでいた藩士たちもいたので、実際に戦ってみて「攘夷は無理」と身体で確認出来たのは成果として挙げていいでしょう。なにしろ長州などは4か国艦隊にボコボコやられてしまったわけですから。
半藤:はい。やってみたら思ったとおりだった(笑)。攘夷なんてできない。
出口:しかも賠償金は結局幕府が払ってくれたんですから、倒幕を考えていた薩長にとっては、結果論ではありますが、願ったり叶ったりといった感じがあります。一方の幕府は踏んだり蹴ったりで可哀想ですよね。
半藤:本当にそうですよ(笑)。
- keyword
- 安心、それが最大の敵だ
- 戊辰戦争
- 明治維新
安心、それが最大の敵だの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方