2019/09/02
安心、それが最大の敵だ

膨大な鉄砲輸入
出口:そうやって幕府が疲弊する一方で、幕末から明治維新にかけて戊辰戦争では、武器商人が相当な金を儲けました。
半藤:私は、慶応元年(1865)から明治2年(1869)まで5年分の長崎での小銃の輸入量を調べたことがあるんですよ。それによると、
慶応元年 2万5850丁(16万ドル)
慶応2 年 2万1620丁(27万ドル)
慶応3 年 6万5367丁(98万ドル)
明治元年 3万6511丁(62万ドル)
明治4 年 1万9163丁(29万ドル)・・・と、(引用者注:当時の1ドルは今日の数万円か)
誰が買ったかは分からないんですが、バカスカ輸入しているんですね。
出口:すごい量ですね。武器商人は大儲けでしょうね。先日、大倉喜八郎(大倉財閥の祖)の伝記を読んだのですが、戊辰戦争で鉄砲商として財を成していますね。
半藤:いまのは長崎の数字で、途中から開港した横浜での輸入も加わります。そちらも数字をご紹介しましょう。
慶応3 年 10万2330丁(133万ドル)
明治元年 10万5036丁(160万ドル)
明治2 年 5万8813丁(64万ドル)
さらに明治元年から兵庫と大坂(当時)からの輸入も加わって、そちらも何十万ドルもの金額になっています。それぐらいドカドカと小銃が入って来るんですね。英国のトーマス・ブレーク・グラバー(1838~1911)あたりは「日本の近代化に貢献した」などとよくいわれますし、そういう側面もたしかにあったのでしょうが、まあ、当時の武器商人たちは、とんでもない額のお金を日本からひったくっていったわけです。
出口:鉄砲商人にしてみれば、幕府と薩長が喧嘩をしているなら、双方に鉄砲を売って大儲けをしようと考えるのは自然なことですよね。
半藤:もちろん、悪いことではありません。
出口:しかしそれによって大変な内乱が起こり、最終的には幕府は倒れました。
- keyword
- 安心、それが最大の敵だ
- 戊辰戦争
- 明治維新
安心、それが最大の敵だの他の記事
おすすめ記事
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方