前提条件を押さえ全体像を理解する
概論編 その2 防災計画の全体像はこう作る

本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2019/09/11
中小企業の防災 これだけはやっておこう
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
防災計画を策定することになると、「耐震チェックはどうしよう」「どのようなものを備蓄すればよいのか」、また「地震と水害の初動対応は同じでよいのか」など、さまざまな疑問が生じると思います。
あれやこれやと迷ううちに防災計画の着手が遅れるということが起こらないよう、まず、防災計画の全体像を理解しておきましょう。
1. 防災計画の前提条件を押さえる
(1)考慮すべき事象
まず、自社の防災計画において、どのような災害を対象とするかを押さえておきましょう。考慮すべき事象は、自社のそれぞれの拠点で発生することが想定される災害です。
例えば、現在の日本において、いつ、どこで地震が起こるかピンポイントで予測することはできません。また、自社の拠点では水害が絶対発生しないと言い切ることも困難です。つまり、地震や水害の防災計画は、その企業の立地に関わりなく必要です。
それでは、津波はどうでしょうか。海岸線から遠く離れ、周囲を山で囲まれた地域では、津波の被害は考えられませんから、それら地域にある企業の拠点では津波の防災計画は必要ありません。
ただし、そのような場合でも、原材料の調達先に津波被害が想定されるときには、事業継続計画において対策を検討しておくことが求められます。
(2)防災計画の範囲
防災計画は、自社の拠点ごとに検討を進めます。
例えば、東京都内に2カ所の拠点を持っている場合、それぞれの場所の海抜や、河川からの距離などによって水害リスクに対する脆弱性は異なります。
また、2拠点で地震が発生する確率を正確に想定することは難しいですが、それぞれの拠点がビル街に位置しているか、また木造建築が密集している場所なのか、またその建物の耐震性などによって対策も違います。
自社拠点の災害に対する弱点を的確に判断した上で、準備を進めることが重要です。
(3)防災計画の取り組み主体
防災計画の主たる目的は「従業員の身体・生命の安全確保」と「建物や機械・設備などへの被害軽減」のため、それらを主管する防災部門や総務・人事部門が中心となって体制を組むことが大切です。
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