2. 防災計画を構成する重要項目
ここでは防災計画を策定する際、記載するべき重要項目を説明します。

(1)概論編
自社の防災計画を推進するための前提となる事項を記載します。

・経営者から従業員の一人一人に至るまで、同じ方向を向いて防災活動を進めるためには、それを何のために行うのか、防災活動の目的を明示し共有することが重要です。

・誰が何をするかという社内の推進体制を示すことも求められます。災害時には、負傷者が発生することが考えられるため、社内体制に欠員が出た場合の代行順位もここで決めておきます。

(2)事前準備編
「防災計画」のポイントは、文字通り、企業にとっての災いを防ぐ事前の準備です。特に、建物の耐震チェックやその結果を踏まえた耐震強化、そして安否確認システムの導入や備蓄などには時間がかかりますし、また費用も必要です。

これらの対策は、災害が発生した後に実施することはできませんので優先順位をつけて準備を進めることが大切です。

 ・同じ災害でも、地震と水害では防災対策が異なります。事前準備については、地震、水害、火災、そして感染症など、災害の種類別に検討することが必要です。

・現在、その発生が懸念されている首都直下地震や南海トラフ巨大地震などは、実際発生すると道路網を含む交通機関がマヒし、火災が続くことから、従業員の帰宅抑制が推奨されています。このため、水・食料品を含め、生活を維持できる防災備蓄が必要です。備蓄は最低3日分、できれば1週間程度の量が望ましいでしょう。

・発生のタイミングが予測できない地震は、従業員が自宅にいるときに起こる可能性があります。従業員が自宅で被災し、ケガをすることも考えられますので、自宅の防災として何を行うべきかという教育も必要です。

(3)初動対応編
地震や火災など突発的に起こる災害に見舞われた際、どのようにして自分の命を守ればよいのかを従業員全員で理解しておくともに、実際に行動に移せることが極めて重要です。併せて、二次災害を防ぐ対応がとれることも求められます。

必要な初動対応も、地震、水害、そして火災では異なりますので、それぞれ検討してきましょう。

(4)復旧活動編
命を守るための初動対応、そして二次災害を防止した後の活動も極めて重要です。

・従業員の安否を確認するとともに、現場に復帰できる要員数を踏まえ、復旧に向けて要員配置を行います。

・建物・生産施設や什器・備品の被害を確認します。そして修理や整備の手配、また必要な物資を調達します。

【ここがポイント】

中小企業の場合、限られた従業員の命を守ってこそ、自社が存続し、その事業継続も可能となります。

しかし、耐震チェックや耐震強化工事が必要となれば、数カ月から年単位で時間が必要ですので、防災計画の全体像を理解した上で、まず取り組みを始めることが重要です。

事前準備のポイント
1. 事前準備は災害の種類別に検討する
2. 防災備蓄は最低3日分、できれば1週間程度準備する
3. 従業員の自宅防災も忘れない

【参考資料】
「事業継続ガイドラインーあらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-」(平成25年8月改定)(内閣府防災担当)

(了)