地震への事前対策
準備編その1 建物、設備・什器備品を大きな揺れから守る

本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2019/10/09
中小企業の防災 これだけはやっておこう
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
「防災」は、「災い(わざわい)を防ぐ」と書きますが、地震や台風などの自然災害はその発生を抑えることはできません。しかも、突然の大きな揺れに見舞われた場合、あるいは河川が氾濫したような場合、実際にわれわれができることは非常に限られます。
そこで求められることは、そのような自然災害が起こる前に準備をしておき、災害の被害を少しでも小さくする、つまり「従業員の命を守る」そして、「会社資産を守る」ことです。
今回からは、さまざまな災害に対して、事前に進めておくべき活動を説明します。
1.建物の耐震診断と耐震補強工事
会社資産の重要なもの、例えば、従業員、生産設備、そして仕掛品や商品在庫などは、ほぼその全てが自社の本社ビル、工場や倉庫などの中に存在します。
もし、それらの建物が地震の揺れで倒壊すると、多くの従業員が死亡・負傷するなど、その被害は計り知れません。もちろん、設備や什器備品などにも大きな被害が発生します。そのため、建物の倒壊や損傷を防ぐことが極めて重要です。
(1)耐震診断と耐震補強工事
自社の建物が大きな地震にも耐えられる耐震性能を持っているかどうかは、見た目だけでは分かりませんので、専門家の診断を受けて判断することが重要です。
その診断の結果に基づき、必要に応じた耐震補強工事を行うことで、建物そのものの被害、そして建物内の従業員や設備・什器備品の被害を軽減することが可能となります。
①建物の老朽化に注意する
日本の建物は、建築時点での建築基準法などで定められた耐震基準に従って建てられていますが、その耐震基準は、地震災害による教訓やその後の建築技術の進歩に伴い変わってきています。しかし、耐震基準はさかのぼって適用されませんので、耐震基準の改正前に建築された建物は新たな耐震基準を満たしていないことがあり得ます。
また、建築されてから時が経過することで老朽化していることも考えられますので、耐震診断を受けて適切な補強を行うことが推奨されます。
②自社所有物件以外の建物の耐震性にも気をつける
自社が所有するビルや倉庫であれば、専門家と直接、耐震診断について打ち合わせることになります。しかし、テナントとして入居している場合は、まず建物の所有者に状況を確認した上、その後の対応を決めていきます。
③耐震基準を満たしていても、建物への被害はあり得る
現行の建築基準法における基準は、極めてまれな地震(震度6強から震度7程度)に見舞われた場合、建物の倒壊を防ぎ人命を守ることを目標としています。
つまり、現行の耐震基準を満たしている場合でも、それらの激しい揺れに見舞われた際にはある程度の損傷が起こる可能性があることを認識し、その対策も考えておくことが必要です。
④最優先で取り組むべき対策
耐震診断や耐震補強工事には費用がかかりますが、従業員や設備・什器備品など建物内の経営資源を守るためには極めて有効な対策です。
自治体によっては、建物の耐震補強工事に必要な一部を補助する場合がありますので、それらも活用しつつ最優先で取り組みましょう。
中小企業の防災 これだけはやっておこうの他の記事
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/26
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方