2016/10/14
誌面情報 vol57
防護服やマスク、ゴーグル
CBRNテロの多くは、有害な化学物質や細菌・ウイルスを何らかの形で空気中に散布させるケースが多い。有害な化学物質は、肺や皮膚に取り込まれることによって重大な症状が現れ、細菌・ウイルスも口や目、傷口等を通じて体内に取り込まれることで発症する。放射性物質の場合も体内に取り込まれて被曝すると、被害はより深刻になる。
ガムテープとビニールシート
大規模なCBRNテロが発生し、自分の住居で危険が去るまで待機しなければならないような場合は、屋外から有害物質や細菌・ウイルスが屋内に侵入するのを少しでも食い止めるために、ガムテープとビニールシートを活用する方法がある。できるだけ窓やドアの少ない部屋に避難し、ガムテープやビニールシートで窓やドアをすっかり覆ってしまうことで、汚染された空気に接触する危険を減らすこと
ができる。
ハサミと石けん
直接被害に遭遇しなくても、有害物質や細菌・ウイルスに汚染された人や衣服によって、他の人に被害を及ぼすことも起こり得る。被災したら、身に着けている衣服を速やかに処分する必要があるが、脱ぎにくい場合は、ハサミを使用して衣服を切り裂き、露出している皮膚に衣服の汚染された部分を触れさせないことが
重要。その後、石けんを使用して身体を洗うことで皮膚から汚染物質を吸収する可能性を大幅に減少させることができる。
(2)CBRNテロに遭遇したら
直接被害に遭遇している恐れがある場合には、まず有害物質と接触しないように努めることが大切だ。マスク等を持ち合わせていなくても特に口と鼻から有害物質を吸引しないよう、布(Tシャツなど)やティッシュペーパーを重ねて口と鼻を覆い、これを通して呼吸するようにする。また、子供がいたら、不用意に外気を吸い込まないよう手当てをしてやる必要がある。CBRNテロに使用される多くの物質は空気よりも重く、地面に近いところに留まる傾向にあり、そのような物質が使用されたテロ攻撃の場合には、高いところにいればいるほど安全であると言われている。また、できるだけ風上に逃げるということも重要になる。
また、噂や流言に惑わされることのないよう正確な情報収集により事態を把握する。特に現地当局がどのような指示・助言を行っているのか把握することが大切だ。その上で、緊急事態に備えた計画を念頭に、住居で待機するのか、より安全な場所に避難するのかを含め、臨機応変に対応策を考えていくことが求められる。
以下は外務省Q&Aを参考にまとめたC(化学兵器)、B(生物兵器)、R(放射性物質)、N(核)を用いたテロに対する対応である。
(了)
誌面情報 vol57の他の記事
- 特集2 石綿を無害化固めて封じ込める
- 災害時に解体現場で露呈軽視される3建材
- 特集3 徹底解説 CBRN 身近にある危険
- 危機管理の盲点となるメンタルヘルス1億円以上の賠償請求も
- 熊本地震と被災地のリーガル・ニーズ
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/02
-
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方