消防現場で犬に咬まれた時の対処法
犬に咬まれても、怒鳴ったり蹴ったり叩いたりしたら絶対ダメ!
一般社団法人 日本防災教育訓練センター 代表理事/
一般社団法人 日本国際動物救命救急協会 代表理事
サニー カミヤ
サニー カミヤ
元福岡市消防局レスキュー隊小隊長。元国際緊急援助隊。元ニューヨーク州救急隊員。台風下の博多湾で起きた韓国籍貨物船事故で4名を救助し、内閣総理大臣表彰受賞。人命救助者数は1500名を超える。世田谷区防災士会理事。G4S 警備保障会社 セキュリティーコンサルタント、FCR株式会社 鉄道の人的災害対応顧問、株式会社レスキュープラス 上級災害対策指導官。防災コンサルタント、セミナー、講演会など日本全国で活躍中。特定非営利活動法人ジャパンハート国際緊急救援事業顧問、特定非営利活動法人ピースウィンズ合同レスキューチームアドバイザー。
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2、犬に咬まれた時の対処法
噛みつかれた場合の引き離し方
「How to stop an attacking dog assault from biting a victim AKBAN Self defense Bite release」
(出典:Youtube)
■隊員を助けるための引き離し要領
・できるだけ気づかれないようにゆっくりと後ろから近づき、犬をまたぐ。
・またいだと同時に首輪をつかみながら、素早く犬の胴を自分の股で強く挟む。
・犬の首輪を首が絞まるくらいまで絞り上げるように強く握るか、後頭部の下の毛をたるみの無い状態までつかみ上げる。ただし、首輪が劣化していたり、ちぎれそうな場合は、後頭部の毛と首輪を一緒につかむことが望ましい。
・首輪や後頭部を強く握って、頭を振らせない状態にしたまま垂直方向に犬の前足が付かない状態まで持ち上げ、犬の呼吸ができないくらいに首を締め上げる。ただ、口を離せば、犬を拘束した状態にして、窒息させて殺してしまわないように注意。
・噛みついた状態を解いた場合、持ち上げたままロープなどでマズルで口を閉じてから首輪をロープで繋ぐ。
・もし、噛みついた状態から解けない場合は、もう一人の隊員が犬の喉を強く突いて咳き込ませる。
・それでも、離さない場合は、後頭部の両サイドの毛を絞り上げながら思いっきり引っ張る。
・噛みつきから解放された場合は、まず、犬が他の人を咬まないように注意し、犬の飼い主や関係者等に引き渡す。ケージに入れることも考慮。
もし、首輪をつけていなければ、自分のベルトやスリングロープ(小綱)を使って首輪とリードの代わりにすることもできるが、外れやすいため、できるだけ早くケージなどの強固なものに収容することが望ましい。
下記の写真のように首輪以外に胴にも「ひばり結び」をかけておくとさらに犬の行動を抑制できると思います。
また、小綱で犬を抑制できない場合は、犬を横倒しにして、下になっている前肢と後肢をつかんで、肘で体を押さえ込み、マズルを装着することも可能です。ただし、顔を犬の顔に近づけすぎると咬まれることがありますので、注意してください。
■咬まれている隊員の要領:
・犬に叫んだり、怒鳴ったりしないこと。
・犬を蹴ったり、殴ったりして犬を興奮させないこと。
・犬に強く咬まれる状態は牙が腕や手に刺さり、また、犬は引っ張りながら左右に首を降るので、こちらから、引き離そうとして引っ張ると傷口が広がる可能性が高い。
・助ける隊員の犬の行動抑制に協力する。
など