2016/11/13
防災・危機管理ニュース
Q. 国際緊急援助隊の派遣はどのように決定されるのでしょうか?
A. 被災国からの要請によって派遣が決定されます。逆に被災国からの要請がなければ派遣されません。
Q. 何日くらい派遣されるのでしょうか?
A. それぞれのチームによって異なりますが、概ね下記のとおりとなっています。派遣期間終了後、引き続き被災国からの要請があれば2次隊を派遣することになります。
・救助チーム:1週間~10日程度
・医療チーム:2週間程度
・専門家チーム:2週間程度
・自衛隊部隊:2週間~2ヶ月程度
Q. 国際緊急援助隊「救助チーム」の構成はどうなっているのでしょうか?
A. 外務省、消防、警察、海上保安庁、JICA、医療関係者、構造評価専門家からなる混成チームとなっています。今回のネパールへの派遣は以下のとおりです。
外務省1名・消防17名・警察23名(救助16名、救助犬ハンドラー5名、通信隊員2名)・海上保安庁14名・JICA8名、医療関係者5名、構造評価専門家2名
Q 今回の派遣では国際消防救助隊も派遣されていると聞きましたが、国際緊急援助隊と国際消防救助隊の違いはなんでしょうか?
A. 国際緊急援助隊「救助チーム」を構成している消防の部隊のことを通称「国際消防救助隊」と呼んでいます。これは「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」が施行される前から、消防は海外へ救助隊を派遣しており、この時の呼び名が「国際消防救助隊」だったことから現在でもこの名前を通称として使用しているものです。
Q. 国際消防救助隊の英訳は?
A. International Rescue Team of Japan Fire-Service(略称「IRT-JF」、愛称「愛ある手」です。
Q. 国際消防救助隊の編成はどうなっているのでしょうか?
A. 日本の消防制度では、実働部隊(火を消したり、救助をしたりする部隊)は東京都と市町村にしかありませんので、国際消防救助隊の隊員もこの中から選ばれます。ただしどの本部から選ばれるということはなく、一定の基準をクリアした本部から限られた隊員しか選ばれません。現在、77消防本部の救助隊員599名が登録されています。
今回のネパールへは以下の団体から派遣されています。
国際消防救助隊 17名(総務省消防庁 1名、東京消防庁6名、さいたま市消防局3名、浜松市消防局3名、川越地区消防局1名、秋田市消防本部1名、高崎市等広域消防局1名、富山市消防局1名)
国際緊急援助隊についてご理解いただいたでしょうか? 今、この瞬間も国際緊急援助隊の各チームは、一人でも多くの要救助者を救うため頑張っています。引き続きご支援よろしくお願いいたします。
Profile
合田克彰
(ごうだ・かつあき) 1993年自治省(現総務省)入省、福岡県庁での勤務を経て、2001年より自治体国際化協会ニューヨーク事務所勤務。その際、9.11米国同時多発テロに遭遇。2011年から総務省消防庁国際協力官として、消防分野の国際協力を担当。在任時、国際緊急援助隊レスキューチーム(JDR)副団長、国際消防救助隊(IRT)総括官として、消防庁で初めてIRTの実戦的訓練を行う。東日本大震災後、海外からの救助隊の受入れ調整を担当。現在、市町村職員中央研修所(市町村アカデミー)勤務。
(了)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方