被災地では、限られた備蓄食品を何度も食べますが、仕方のないことでしょうか。災害食は選択肢が少ないのでそうなりがちで、味気なさ、つまらなさ、情けなさにつながります。そうではなく、多様化する技を伝授しましょう。つまりベースは同じで、組み合わせを変化させる方法です。

日頃、私たちは、昨日はあれを食べたから今日はこれにしようと、飽きないための工夫や努力をしています。しかし、災害時は、選択の余地がありませんから、同じものを食べ飽きて嫌になり食欲がなくなるということが起きます。これは、健康管理上でもストレス緩和上でも問題です。

そこで、今回はバランス栄養食であるカロリーメイトを例に、災害時、同じ味に飽きたとき「どう工夫できるか」を考えてみましょう。

カロリーメイトには味の違う5種類(チーズ味、フルーツ味、チョコレート味、メープル味、プレーン)があります。その上で、皆さんが備蓄しているような身近な備蓄食品をプラスアルファとして付け加えることを試みました。これはほんの一例です。ご自分の好みで付け足して自分好みの味を作り、悲惨な災害時を何とか乗り越えていただきたいと思います。ここでは全く熱源を使いません。あくまでも備蓄食品を使って勝負します。避難所や自宅で座ったまま、簡単に備蓄食品を組み合わせて多様性を生み出すことが可能です。

東日本大震災では、被災者は救援物資の乾パン、ソフトパン、クラッカーなどの食品を繰り返し食べていました。繰り返し食べていたため次第に飽きて食欲を失い、不満を漏らしていました。選択肢がなかったことが被災者を悩ませたのです。

災害発生直後は調理場の散乱に加えてガス、水道、電気などのライフラインが停止するので、封を切ったらすぐに食べられるものしか食べられません。この条件を満たすのがまさに備蓄食品です。冷蔵庫があるではないかと言う人もいますが、室温が高いため、電気が切れた途端にただの箱になります。冷蔵庫内温度を維持するのは至難です。冷蔵庫ではなく、室温で保存できる「災害用の備蓄食品」に切り替えましょう。とりわけ腹の足しになる主食は不可欠で、カロリーメイトの他にビスケット、パン、クラッカーなどがあります。

こうした備蓄食品には以下のようにさまざまな配慮や工夫がされています。
・少量でエネルギーが多い
・栄養のバランスが取れている(ビタミン、ミネラル、食物繊維などが多い)
・食べやすい(1食分に分けてある)
・食べ残しが出にくく、その始末がしやすい
・ 乾き過ぎていない(乾き過ぎている食品―水分含量:乾パン5.5%、クラッカー2.7%)
・持ち運びが便利
・軽い
・食べ残した場合、汁気が残らない(カップ麺は汁が残る)
・のどが渇きにくい(味付けが濃くない)
などが挙げられます。

これらの点を十分に満たした商品の一つに、カロリーメイトがあります。
カロリーメイトは、タンパク質、脂質、糖質に加えて、ビタミン、ミネラル、食物繊維がバランスよく取れるように工夫されたバランス栄養食品です。ブロック2本入り(1本20グラム2本で合計40グラム)を食べると1日の栄養量の半分がとれるようになっています。

さて、このカロリ-メイトをベースに使い9例のバリエーションを作りましたので、ご紹介します。