従業員の安全確保を最優先
準備編その4 水害対策は事前準備で成否が決まる
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2019/11/20
中小企業の防災 これだけはやっておこう
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
前回は、水害に対する事前準備として、「洪水ハザードマップ」や「高潮ハザードマップ」から読み取れること、そして水害に関する情報収集・共有の重要性について説明しました。
今回は、水害に対する具体的準備方法について解説を進めます。
1.事前準備のポイント
(1)直前の3日が成否を分ける
激しい風雨を伴い、日本列島に大きな影響を及ぼす台風が発生すると、1週間ほど前からテレビ・新聞などで報道が始まります。そして台風上陸の2~3日前までには、自社が所在する地域が影響を受けるかどうか明らかになってきますので、その段階から必要に応じて準備を進めましょう。
①ハード面の対策
台風による風や雨から、人命や設備・機器などの会社資産を守るためには、次のようなハード面の対策が必要です。
・側溝や排水溝を点検し、落ち葉やごみなどを取り除く
・会社の外にある植木鉢など、強風で吹き飛ばされる可能性があるものは屋内に運び込む
・土のうを準備する
・止水板を準備する
・駐車スペースが半地下あるいは地下にあり、スロープを使って入出庫する方式で浸水を完全に防ぐことが難しい場合は、事前に車両を安全な場所に移動する
・ 窓ガラスはテープなどで補強するか、飛散防止フィルムを貼る
・ 窓枠を補強する
・ カーテンは閉めておく
・ 電子機器類など濡れ損が発生するものについては、高所に移動する
・ 防災備蓄で不足しているものや、期限が切れているものは補充する など
なお、これらの対策は、風雨が強まる前に終えておくことが重要です。また、台風接近後の建物外部での作業は厳禁です。
②必要な物資の購入
防災備蓄で不足しているものに加えて、土のう、さらにガラス窓補強用の養生テープなど、ハード面の対策に必要となる物資について購入します。これらの物資は、台風の接近に伴い市場からなくなり、購入できない事態も発生しかねませんから、緊急時に慌てないように平常時から確認しておくことも大切です。
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