液状化した地域のほうが死者が少ない

読者のみなさま、本年もよろしくお願いいたします。

1月17日は兵庫県南部地震=阪神淡路大震災から25年になります。

25年前、その時、兵庫に住んでいた私はまわりの人から、常々、兵庫には地震がこないから大丈夫と言われていました。東京出身の私は、「兵庫県はなんて素敵な場所なんだ」と思っていました。

大人たちが話してくれる内容は概ねこんなものでした。「兵庫県は六甲山地の固い安定した地盤で安全な場所だよ」と。

しかし、地盤が固いと地震がないなんていうのは、ただの安全神話でした。今では、日本中どこでも震度6以上の地震が起こると言われています。当時知られてなかったのは、やむをえないかもしれませんが、今でも「地盤が固いから安全」という具合に、対策もなされず、同じセリフが語られている地域もあると思っています。

兵庫県南部地震では、かえって液状化した地域のほうが、家屋の倒壊が少なく、死者数が少なかったことは、結構有名なんですが、25年前だから知らない人もいるかもしれません。

2. 何故液状化による死者数は少ないのか?
2.1 地震動S波は液体中を通過できない通常の構造物は自重を含め鉛直方向に対しては荷重の種類が多いため余裕も大きい。しかし水平方向に対しては、地震荷重、風荷重くらいしか考慮されないため余裕が少ない。したがって、構造物を水平方向に揺らすS波は、地震動の中でも構造物を破壊させる波である。S波は地盤中のせん断ひづみが伝わっていく波であるから、せん断反力の生じない液体中は伝わることが出来ない。 1995年兵庫県南部地震においても、ポートアイランドにおいて神戸市が観測していた地中のアレイ観測地震 計は、深さ79mから地表に向かって、水平動、上下動とも増幅していたが、地表付近の液状化が起こったと思われる深さで水平動だけが振幅が半分程度に減少していた。このように液状化によって、地表の水平動が顕著に減少するため、構造物の振動による急激な破壊は殆ど生じなくなる。

土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月) 攻玉社工科短期大学 フェロー会員 伯野元彦氏 引用https://www.jsce.or.jp/library/eq10/proc/00035/58-01-0360.pdf 

地盤が固いと揺れにくいのは事実ですが、地震がこないわけでも、対策をしなくても安全なわけでもありません。

だからこそ、今、各地で聞いた安全神話をお伝えします。

一方で、安全神話は地元への深い愛情の表れでもあるのです。

それを、ディスったり否定したりしたいわけではないのです。深く地元を愛する気持ちを大切にしつつ、でも、愛に溺れるんじゃなくて、時には冷静になって愛を育てていかないといけないのではないのかなーと思います。

安全神話があることにより災害対策を怠ってしまうと、被災後に住む人が減ってしまったりして、地域を破滅の道に陥れる可能性もあります。

愛は大切にしつつ破滅の道に至らせないように、神話ではない確かな対策でみなさんの地域を安全に変えていただければと思い、紹介いたします!