(2)想定する事象は自然災害に限定されない
日本では、地震が頻繁に起こることから、多くの企業は地震を切り口にしたBCPを策定しています。

しかし、BCPは自然災害だけではなく、新型コロナ感染症など未知の感染症やサプライチェーの途絶など、自社の事業を中断させる原因となり得るさまざまな事象を対象としています。

BCPは、事業が中断する原因が自然災害であるか、感染症であるか、また大事故であるか、という点ではなく、その結果として起こる事業の中断そのものに焦点を当てて考えます。つまり、建物や設備が使えない、従業員が出社できない、あるいはライフラインが停止するなどの結果に直面した時に、どう対処するべきかを方針、体制、手順としてまとめたものです。

(3)BCPと防災計画は車の両輪
BCPを推進する前提となるのは、防災計画です。[表1]に示す通り、防災計画を策定する主な目的は「身体・生命の安全確保」および「物的被害の軽減」です。

そしてBCPの主な目的は、それら防災計画の目的に加えて「優先的に継続・復旧すべき重要業務の継続または早期復旧」です。つまり、BCPと防災計画の両者は密接な関係にあることから、セットで考え実践していくことが重要です。

写真を拡大 出典:「事業継続ガイドライン―あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応―(平成25年8月改定)」[内閣府(防災)]をもとに作成

【ここがポイント】

BCPは、企業が生き残るため、そして社会への商品・サービスの提供責任を果たすために極めて重要なものです。

1. BCPは防災計画とセットで考えることが重要である
2. BCPでは、まず自社の事業を中断させないことを目指す
3. BCPの対象は自然災害に限定されず、自社の事業を中断させる可能性があるさまざまな事業が対象となる