2020/05/27
中小企業の防災 これだけはやっておこう
(2)被害想定を確認する~世の中がどうなるか知る
①なぜ被害想定を確認するか
大きな地震が起こると、社会全体に甚大な被害が発生します。その際、自社の従業員、建物・設備、そして電気・ガス・水道などのライフラインにも大きな被害が出ることから、それが自社の事業継続にどのような支障をもたらすかを明らかにしておく必要があります。
事前に被害想定を確認しても、実際の地震が、その想定通りになるとは限りません。それでも起こり得る被害を想定するのは、その被害想定を前提に自社の事業を継続するに当たっての弱点を把握して、必要な対策を講じることができるからです。
②自社の被害を想定する手順
まず、自社が立地する地域で発生する地震については、国(内閣府中央防災会議)が発表する被害想定を参考にします。例えば、首都圏に拠点を持つ企業であれば、2013年12月に発表された「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」で、被害の全体像を把握します。
そして次に、各地方自治体が発表しているハザードマップなども活用して、自社の従業員、建物・設備、そしてライフラインにどのような被害が起こるかを確認していきます。
この手順で重要なことは、自社に起こり得る被害をできるだけ具体的に想定することです。例えば、大きな揺れに弱い設備はどれか、倒れる機械やキャビネットはないか、また電気の供給が停止した際の製造ラインへの影響はどうなるかなど、より細かく想定しておくことです。
なぜなら、ここで自社の弱点を見つけることができなければ、それに応じた対策を立てることができないからです。そのためにも、被害想定を作成する場合は、社内の各部門の協力を得て、現場において事業継続上の落とし穴となるような点を見逃さないことが重要です。
中小企業の防災 これだけはやっておこうの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
-
組織ごとにバラバラなフォーマットを統一
1月3日、サイボウズの災害支援チームリーダーである柴田哲史氏のもとに、内閣府特命担当の自見英子大臣から連絡が入った。能登半島地震で被害を受けた石川県庁へのIT支援要請だった。同社は自衛隊が集めた孤立集落や避難所の情報を集約・整理し、効率的な物資輸送をサポートするシステムを提供。避難者を支援する介護支援者の管理にも力を貸した。
2024/04/10
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月9日配信アーカイブ】
【4月9日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:安全配慮義務
2024/04/09
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方