2020/07/08
中小企業の防災 これだけはやっておこう
2. 訓練の準備
訓練は、BCPが実際の災害時にも活用できるよう、その実効性を高めるためのものですから、訓練参加者の対応がうまくいくような設定やシナリオにするのではなく、むしろ計画そのものの課題や問題点が浮かび上がるように、準備を進めることが大切です。
訓練の準備に当たっては、次の点に留意するとよいでしょう。
(1)訓練の範囲とする項目
訓練の範囲をどこにするかは、訓練の規模や参加者に応じて決めましょう。特定の項目に絞る場合、また全体を通して訓練を行う場合などさまざまな形式が考えられます。
特定の項目についての訓練としては、安否確認や本部の立ち上げ、そしてライフラインの被災状況確認などがあります。また全体を通して訓練を行う場合でも、被災直後の初動場面、一定時間経過後の事業の復旧など、ある程度ポイントを絞ったほうがよいでしょう。
(2)訓練を実施する日程
訓練には、多くの従業員が可能な限り参加できることが望ましいわけですが、製造業などでは現場で生産を続けながら実施することになりますから、通常業務への影響も考慮して日程を決めましょう。
また災害は、従業員の数が少ない、あるいは全くいない夜間や休日に発生することも想定されますから、平日の日勤帯だけではなく、従業員のシフトが手薄になる時間帯を想定した訓練の実施も検討するとよいでしょう。
(3)訓練のシナリオには柔軟に対応する
BCPはあくまで計画ですから、実際の災害時にはBCPで想定されたことがそのまま起こるとは限りません。例えば、大会議室を対策本部として使うと決めていても、その会議室が地震の揺れで大きな被害を受けて使えないことがあります。また、それぞれの従業員が避難誘導や、初期消火などの役割を与えられていても、被災時にはケガをして自分の役割を果たせないことも考えられます。
訓練を進めるときには、BCPでの設定とは異なるシナリオを訓練参加者に示し、臨機応変な判断や対応が必要であることを理解してもらうことも必要です。
(4)近隣住民との連携
訓練は、地元の消防署などを含め行政機関と共同して行うことが重要ですが、それに加えて、近隣住民との連携も必要です。平常時から協力体制を確立しておき、企業と地域住民が一体となった訓練を行うことも検討しましょう。
【ここがポイント】
策定したBCPに足りない点や欠けている部分を見つけて修正するためには、訓練を実施することが極めて重要です。
1. 訓練を繰り返すことで、従業員の災害対応能力が高まる
2. 訓練の実施日程は、通常業務への影響も考慮して決める
3. BCPの想定とは異なる訓練シナリオを提示し、参加者の臨機応変な対応を促すことも重要である
中小企業の防災 これだけはやっておこうの他の記事
- 第26回【最終回】:まとめ 防災活動の必須ポイント
- 第25回:防災活動の次に考えること その7
- 第24回:防災活動の次に考えること その6
- 第23回:防災活動の次に考えること その5
- 第22回:防災活動の次に考えること その4
おすすめ記事
-
-
今年の夏は大規模停電のリスク大?
今年の夏、東京電力管内を中心に電力不足が懸念されています。需要に対する供給力の余裕を示す「予備率」が1パーセントを切る見通しで、もしそこで突発的な発電所の事故や故障が起きれば予備率はさらに低下、マイナスに陥りかねません。大規模停電のリスクについて、東京電機大学名誉教授の加藤政一氏に聞きました。
2026/02/12
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/02/10
-
-
海外危機管理マニュアルの作成が急務
海外に社員を送り出す企業にとって、緊急事態が発生した際の対応体制は必須。どんなに現地に慣れたベテランでも、自分の身を守り切れない事態は起き得ます。ましてや現在は安全保障上の国家対立が深まり、東アジアの緊張も高まっている時代。海外危機管理サービスを手がける安全サポートの有坂錬成代表取締役に、海外進出企業が取り組むべき対策を聞きました。
2026/02/05
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/02/05
-
-
-







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方