2020/09/25
事例から学ぶ

大堀商会
新潟県新発田市
政府の緊急事態宣言を受け、建築リフォーム業でも営業や打ち合わせにオンラインの導入が進んでいる。が、地域密着の地方中小企業はむしろ、フェイストゥフェイスの顔の見える関係が強み。またそうした企業は地縁によって施主とつながり、住まいの細かなトラブルや相談にも機動的に対応するところが多い。大堀商会(新潟県新発田市)も、そうした企業の典型だ。感染症まん延下においては仕事のやり方を変える必要に迫られるが、大堀正幸社長は「特別なことは何もしていない」と話す。10 年来進めてきた働き方改革が、ウイズコロナのニューノーマル(新常態)を先取りしている。
(※本文の内容は5月13日取材時点の情報にもとづいています)

既存顧客(以前に同社で建築・リフォームを行った実績のある顧客)が約4000件。おおむね8割が65歳以上の高齢者世帯だ。全国に緊急事態宣言が発出された4月16日以降、大堀商会は訪問営業を自粛している。
「堂々と訪問すると嫌がられる雰囲気になってきたのは3月末頃」と、社長の大堀正幸氏。既存顧客とのつながり方をどうするか、再考に迫られた。
住宅産業では現在、インターネットやダイレクトメールを使った営業が主流。同社も以前はそうした手法が大半だった。しかし、顔の見えない『飛び道具』は商圏の狭い地方中小企業にはそぐわないとして、一昨年から既存顧客の元に直接訪問するアナログ型の営業を復活させてきた経緯がある。
「通常であれば月1回、既存のお客様を営業スタッフがまわる。実際そのほうがリピート注文の掘り起こしができ、ネットやDMを使った販促より受注率が高い」。それがコロナ禍に見舞われたのは、ある意味皮肉な結果。ただし、完全に訪問をストップしたわけではない。
「コロナ対策宣言」をメッセージとして発信
営業自粛と同時に、すべてのステークホルダーに向けて①出社前の検温②マスクの着用・手の消毒③「密」を避ける行動――を約束する「コロナ対策宣言」を発表。メッセージカードを作成し、既存顧客にも配布を開始した。感染症対策の姿勢をアピールするとともに、訪問機会をつくり出すことで、つながりの維持に努めている。
「コロナ対策宣言」はもちろん、有言実行が必須だ。大堀氏は「危機感は人それぞれなので過剰にやってもいけない」と話すが、宣言に反する行動が一つでもあれば、逆に信頼は棄損する。
上下水道・空調設備・リフォーム工事を主軸とする同社の場合、仮に新規受注は止められても、メンテナンスを止めるのは困難だ。仮に感染まん延下であっても、住まいのトラブル対応は待ったなし。施工を担当する建築職人が施主宅や施主施設に出入りすることは避けられず、万全の体制が欠かせない。
「マスクの着用はもちろん、ポケットサイズの消毒液を持たせて出入り時には必ず消毒。あとは体調管理として毎日の検温を徹底、万が一感染が発生した場合に備え、濃厚接触の履歴も記録している」と大堀氏は説明する。
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