■気候変動を否定する3つのパターン

さらに、否認は3つの形態を取るとウィキペディアには書かれてあります。1つは「単純な否認:不快な事実について、その現実をすべて否定する」、次は「最小化(ミニマリゼーション):事実については認めるが、その重大性については否認する(否認と合理化の組み合わせ)」、最後は「投影: 事実と重大性ともに認めるが、責任については他者を責めることで否認する」というものです。

これはとても興味深いことです。なぜなら、これらは気候変動を否定する意見の分類にもピッタリ当てはまるからです。いくつか例を挙げてみましょう。

「そもそも温暖化していない」という意見も(写真:写真AC)

まず「単純な否認」から。「地球は温暖化していない」「豪雨や洪水が増えているというのは嘘である。年平均ではほとんど変わっていない」「気候危機だと騒ぐことで金儲けしている連中がいる。その手に乗ってはいけない」などなど、数えあげれば枚挙にいとまがありません。いずれも正確な根拠や論拠に乏しく、扇動的な語り口のものが多いのが特徴です。

「原因は森林」という意見(写真:写真AC)

「最小化」の典型的な例としては「温暖化は本当だが、そもそも地球は10万年周期で寒暖を繰り返している。いずれ温度は下がり始めるから気にすることはない」「地球温暖化の直接の原因は、伐採で森が減少して二酸化炭素の吸収量が減ったからだ。木をたくさん植えれば解決する」という木を見て森を見ない説。

温暖化の責任を他国に転嫁する意見も(写真:写真AC)

一方「投影」の例は、少し複雑な形を取るものが多いようです。温暖化の原因は二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスであり、それが地球に深刻な影響を与えつつあると認めながらも、自国のことはさておき、他国にその責任を問おうとするものです。

例えばアマゾン川流域やボルネオ島の大規模な森林破壊の直接の責任は当事国にあることは間違いないとしても、伐採した木材や開拓農地からの収穫物がどこに輸出・消費されているかを考えれば、当事国の非だけを問うことはできないでしょう。