2020/09/17
昆正和の気候クライシスとBCP
■気候変動を否定する3つのパターン
さらに、否認は3つの形態を取るとウィキペディアには書かれてあります。1つは「単純な否認:不快な事実について、その現実をすべて否定する」、次は「最小化(ミニマリゼーション):事実については認めるが、その重大性については否認する(否認と合理化の組み合わせ)」、最後は「投影: 事実と重大性ともに認めるが、責任については他者を責めることで否認する」というものです。
これはとても興味深いことです。なぜなら、これらは気候変動を否定する意見の分類にもピッタリ当てはまるからです。いくつか例を挙げてみましょう。

まず「単純な否認」から。「地球は温暖化していない」「豪雨や洪水が増えているというのは嘘である。年平均ではほとんど変わっていない」「気候危機だと騒ぐことで金儲けしている連中がいる。その手に乗ってはいけない」などなど、数えあげれば枚挙にいとまがありません。いずれも正確な根拠や論拠に乏しく、扇動的な語り口のものが多いのが特徴です。

「最小化」の典型的な例としては「温暖化は本当だが、そもそも地球は10万年周期で寒暖を繰り返している。いずれ温度は下がり始めるから気にすることはない」「地球温暖化の直接の原因は、伐採で森が減少して二酸化炭素の吸収量が減ったからだ。木をたくさん植えれば解決する」という木を見て森を見ない説。

一方「投影」の例は、少し複雑な形を取るものが多いようです。温暖化の原因は二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスであり、それが地球に深刻な影響を与えつつあると認めながらも、自国のことはさておき、他国にその責任を問おうとするものです。
例えばアマゾン川流域やボルネオ島の大規模な森林破壊の直接の責任は当事国にあることは間違いないとしても、伐採した木材や開拓農地からの収穫物がどこに輸出・消費されているかを考えれば、当事国の非だけを問うことはできないでしょう。
昆正和の気候クライシスとBCPの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/14
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/10/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方