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Q04. サプライヤーの中でISO20121の認証を取得したのはコカ・コーラのみです。LOCOGの物資やサービスなどの調達に関して、ISO20121の取得は入札条件に入っていなかったのでしょうか。
ISO20121は2012年に発行されたため、入札条件に入れられませんでした。しかし、持続可能な大会という目標にかなう調達のために、次のプロセスを経て入札を行いました。まず、「Kick-Off Project」では関係者を集めて購入する備品や新たに製作する商品を伝えました。「Gather Info」ではサプライヤーを調査しました。良質な製品やサービスを提供できるかだけでなく、雇用環境やフェアトレードの有無、各社のサプライヤーの状況まで詳しく調べます。「Develop Strategy」では、トラブルが起きたときの対応能力など、サプライヤーの選定基準を具体的に決めました。 

LOCOGでは「責任ある調達」「二次原料の使用」「環境負荷の最小化」「人や環境に害のない素材の利用」という4点を原則にしたサステナブル・ソーシング・コードを作成しました。調達に関わる企業にこのような指針を示し、実際の調達において持続可能な取組みであるかを部門別に分け数値化し評価しました。

Q05. LOCOGの取り組みは、どう審査されたのですか?
ロンドンオリンピックのために設立された独立した外部機関であるCommission for a Sustainable London 2012による審査が毎年行われました。同機関のWebサイト(http://www.cslondon.org/)で報告や評価の全てが閲覧できるようになっています。内部監査はコンサルティング会社のKPMGに依頼しました。国際オリンピック委員会(IOC)は進捗状況などの全般的な運営をチェックしていました。

Q06. LOCOGの持続可能な取り組みの成果を教えてください。
LOCOGは廃棄物を極力減らすために「Zero Waste Games Vision」を提示しました。デザインの段階で無駄を省き、高品質で長持ちし、リユースやリサイクルしやすい備品などを用意しました。風力発電など再生可能エネルギーを利用し、競技会場のエネルギー効率も高め、競技会場や設備の一部を一時的な仮設で対応しました。LOCOGの取り組みで排出される温室効果ガスを二酸化炭素に換算して40万トン抑制でき、廃棄物のうち62%をリユース、リサイクルし、埋め立て処分場への廃棄物の持ち込みをゼロにできました。また、全会場で合計1600万食を提供しましたが、安全で品質の高い食品であり、かつフェアトレードで取引された商品を選び社会的な責任を果たすよう努めました。 

持続可能な取り組みとスポンサーからの提供などを含めた直接的な効果は、LOCOGと他の機関を含めると約3000万ポンドを超えました。一般的にサステナビリティはコストアップにつながると批判されますが、経済的な有効性も示せたと思います。

Q07. 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックへのアドバイスをお願いします。
できるだけ早くISO20121の取得に向けて動くことをお勧めします。既存の施設を生かすなど、東京は持続可能な大会にできる環境にあると思っています。2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックを含めてこれまでに数多くの取り組みが蓄積されています。いままでの知見を生かし、未来に開かれた東京ならではの大会を期待しています。

Q08. 会場の建設に関わる企業や関係するサプライヤーはどのような準備をすればよいでしょうか。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が強力なリーダーシップを発揮してビジョンを示す必要があります。ロンドンオリンピック・パラリンピックでは持続可能性を掲げ、「気候変動」「廃棄物」「生物多様性」「社会的一体性」「健康的な暮らし」を5大テーマとして設定するだけでなく、準備段階から当日の運営、撤収に至るあらゆる行動について、規格の達成状況を可視化したサステナブル・ソーシング・コードを作成してビジョンと現状を示し続けました。組織委員会が中心となり、サプライヤーとライセンサーなど関係する企業を牽引する必要があると思います。