2018/01/19
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
地震対策「お風呂に水をためる」は、正しい?嘘?
トイレ以外の生活用水に使うとしても・・
トイレ以外の生活用水に使うにしても、以下にように、普段の洗濯物のすすぎに使うことのも止めておいたほうがよいと紹介されています。
生活用水として利用する場合であっても、用途にもよりますが、過炭酸ナトリウムや塩素をいれて、細菌対策をしてからの利用が現実的といえそうです。
また、これは何階以上になれば必ずというものではないのですが、東日本大震災の時、お風呂が2階以上の方の場合、2階であっても、スロッシング現象によって、お風呂の水が地震であふれたという体験談をお聞きしています。水量や、長周期地震動とスロッシングの周期の合致や地形により、結論が変わってきます。マンション防災では、上層階ほど備蓄の量を増やすべきですが、だからといって、水の確保として、風呂水をためるとあふれるリスクがあることになります。
※スロッシング…液体を入れた容器が振動した場合に、液体の表面が大きくうねる現象。地震の揺れによって石油タンクなどで大きなスロッシングが生じると、浮き屋根が破壊され、漏洩や火災などの災害を引き起こす原因となる場合がある。 (出典:デジタル大辞泉)
さらに、火事対策として風呂水が推奨される事もありますが、これについては消火器を準備することで代替しやすいので、他の問題ほど争いが起こってはいません。消火器についてはこちらをご参考までに。
■消火器は、子どもが倒したり処分が面倒。。。
大丈夫!そんなあなたにピッタリの消火器あります!
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1828
さて、いろいろ述べてきましたが、ここで最も言いたいことは、「風呂水をためましょう」という言い切りの防災情報は、生活に密着しない情報になるので、実施されにくいということです。防災情報は何かとベストを求められることが多いのですが、それだと「私には出来そうにない」と思われてしまって、「だから防災はやりたくない、話も聞くのもうんざり」と全否定されがちです。
だから、「風呂水はためたほうがいい事もあるけど、ためない方がいい場面もある。どうしたらいいか、具体的に考えてみよう」という、その人の生活の中で実施してもらいやすい情報に変わっていけばいいのになと思うのです。
例えば、赤ちゃんがいるのでお風呂には貯められないけど、チャイルドロックがある洗濯機には、風呂水を移動してつけ置き洗いとして、過炭酸ナトリウム入れて菌が繁殖しない形でなら保管できるかも。。という話しあいなら出来そうです。
世代間や価値観の争いにならないためにも、どちらが正しいか否かではなく、また、嘘とかホントとかの2項対立の情報ばかりではなく、それぞれの事情をゆっくり聞いて、話し合って、一緖に出来る事を考えていく。そんな防災情報だと、人と人を繋げる事ができるのにと思うのです。防災情報は使い方次第で、争いのもとになったり、共助にもなる、そんな問題も考えていただければ嬉しいです!
もっとも今回は、じゃあ、具体的に水対策どうするの?ということについて、ほとんど触れられませんでした。風呂水ほどの大容量が日常的に貯められると、配管確認後のトイレや生活用水に役立つことはいうまでもありません。でも、それを簡単に代用する方法は残念ながらまだまだ開発途上という印象です。
給水タンクの耐震性やスロッシング対策、雨水確保の手段や、あんまりためられないけどアウトドアの知恵でおなじみ結露利用方法、それから、驚きの水が作れるアウトドア仕様の防災カーになどについて、動きはありますので、いつか書きますね(←防災でやってはいけない、問題の先延ばし^^;♪)
それではまた!
(了)
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方