政府の緊急事態宣言によって経済社会のダメージが一層深刻化。感染者、重症者とも「高止まり」といわれるなか、変異株の出現、ワクチンの動向、特措法や感染症法の改正などさまざまな要素が絡み合い、先行きが見通せない状況が続いている。企業の危機管理担当者がいま持つべき視点と取り組むべき対策は何か。感染リスクと事業継続リスクの側面からのリレーインタビュー第2弾。

企業はいま何をすべきか
プリンシプルBCP研究所所長 林田朋之氏

Q.出勤者数がそれほど減っていない状況をどう見るか?

企業にも社員にも「これまでの感染防止対策のレベルでそれほど感染者は出ていない」という感覚がある。

マスクをして社会的距離を保つ人並み(写真:ロイター/アフロ)

4月の宣言のときはウイルスがどういうものかわからない状況で、疑心暗鬼や恐怖心もあり、テレワークができる・できないにかかわらず、会社に行けないという感覚があった。しかし今回は、会社に出てもそれほど感染しないというある種の「自信」がどの企業にもあって、通勤電車を見るとだいたい20%減くらいのところで落ち着いている。

多くの人は今回の宣言をそれほどのインパクトをもって捉えず「飲食業や観光業の問題でしょ」という程度。いままで在宅勤務をあたり前にやってきた企業は今回もあたり前に実施しているが、無理してやっていた企業は「今回はいいんじゃないの」と。そんな雰囲気を感じる。

Q.在宅勤務ができないのは何が問題か。

これまでの仕事のやり方を容易には変えられないということだろう。在宅勤務をやってみたけれど結局うまくまわらないのは、デジタル環境やそれにともなうコストの問題というより、ジョブ型の働き方が強いられるからだ。メンバーシップ型でやっている業務を、容易にジョブ型にシフトできない。

在宅勤務7割と政府がいっても、問題はテレワークができるかできないかではなく、メンバーシップ型をジョブ型に変えられるかどうか。しんどい思いをして働き方をシフトするくらいなら、現行の対策でそれほど感染も拡大しないようなので、このまま乗り切ってしまおう、と。

シェアオフィス。染み付いたリズムを変えるのは難しい(写真:写真AC)

またジョブ型で仕事ができる人でも、一定年齢以上の人には長年の間に染み付いたスタイルやリズムがある。例えば「営業は足で稼ぐもの」といった価値観は根強く、家にいればいたで集中力を欠く状況がひんぱんに生じる。会社に来るなといわれたら、レンタルスペースのような場所へ行く人もいるだろう。実際、レンタルスペースは需要が伸びている。