2021/01/26
【オピニオン】緊急事態宣言再発出と延長
「ジョブ型」へシフトできない姿が露呈
政府の緊急事態宣言によって経済社会のダメージが一層深刻化。感染者、重症者とも「高止まり」といわれるなか、変異株の出現、ワクチンの動向、特措法や感染症法の改正などさまざまな要素が絡み合い、先行きが見通せない状況が続いている。企業の危機管理担当者がいま持つべき視点と取り組むべき対策は何か。感染リスクと事業継続リスクの側面からのリレーインタビュー第2弾。
https://www.risktaisaku.com/feature/bcp-lreaders
企業はいま何をすべきか
プリンシプルBCP研究所所長 林田朋之氏
Q.出勤者数がそれほど減っていない状況をどう見るか?
企業にも社員にも「これまでの感染防止対策のレベルでそれほど感染者は出ていない」という感覚がある。
4月の宣言のときはウイルスがどういうものかわからない状況で、疑心暗鬼や恐怖心もあり、テレワークができる・できないにかかわらず、会社に行けないという感覚があった。しかし今回は、会社に出てもそれほど感染しないというある種の「自信」がどの企業にもあって、通勤電車を見るとだいたい20%減くらいのところで落ち着いている。
多くの人は今回の宣言をそれほどのインパクトをもって捉えず「飲食業や観光業の問題でしょ」という程度。いままで在宅勤務をあたり前にやってきた企業は今回もあたり前に実施しているが、無理してやっていた企業は「今回はいいんじゃないの」と。そんな雰囲気を感じる。
Q.在宅勤務ができないのは何が問題か。
これまでの仕事のやり方を容易には変えられないということだろう。在宅勤務をやってみたけれど結局うまくまわらないのは、デジタル環境やそれにともなうコストの問題というより、ジョブ型の働き方が強いられるからだ。メンバーシップ型でやっている業務を、容易にジョブ型にシフトできない。
在宅勤務7割と政府がいっても、問題はテレワークができるかできないかではなく、メンバーシップ型をジョブ型に変えられるかどうか。しんどい思いをして働き方をシフトするくらいなら、現行の対策でそれほど感染も拡大しないようなので、このまま乗り切ってしまおう、と。
またジョブ型で仕事ができる人でも、一定年齢以上の人には長年の間に染み付いたスタイルやリズムがある。例えば「営業は足で稼ぐもの」といった価値観は根強く、家にいればいたで集中力を欠く状況がひんぱんに生じる。会社に来るなといわれたら、レンタルスペースのような場所へ行く人もいるだろう。実際、レンタルスペースは需要が伸びている。
【オピニオン】緊急事態宣言再発出と延長の他の記事
おすすめ記事
-
過疎高齢化地域の古い家屋の倒壊をどう防ぐか
能登半島地震の死者のほとんどは、倒壊した建物の下敷きになって命を落とした。珠洲市や輪島市の耐震化率は50%程度と、全国平均の87%に比べ極端に低い。過疎高齢化地域の耐震改修がいかに困難かを物語る。倒壊からどう命を守るのか。伝統的建築物の構造計算適合性判定に長年携わってきた実務者に、古い家の耐震化をめぐる課題を聞いた。
2024/03/28
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月26日配信アーカイブ】
【3月26日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:四半期ニュース振り返り
2024/03/26
-
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月19日配信アーカイブ】
【3月19日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:副業・兼業のリスク
2024/03/19
-
リスク担当者も押さえておきたいサイバーセキュリティ対策の最新動向
本勉強会では、クラウド対応のサイバーセキュリティ対策の動向を、簡単にわかりやすく具体的なソリューションの内容を交えながら解説します。2024年3月8日開催。
2024/03/18
-
発災20分で対策本部をスタートする初動体制
総合スーパーやショッピングモールなど全国各地のイオン系列の施設を中心に設備管理、警備、清掃をはじめとしたファシリティマネジメント事業を展開するイオンディライト(東京都千代田区、濵田和成社長)。元日に発生した能登半島地震では、発災から20分後にオンラインの本社災害対策本部を立ち上げ、翌2日は現地に応援部隊を派遣し、被害状況の把握と復旧活動の支援を開始しました。
2024/03/18
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方