画像を拡大 大きな被害を出した球磨村の特別養護老人ホーム千寿園

過去に発生した災害事例を詳しく分析して教訓とするときに役立つ視点を10個まとめました。今回は前回の記事に続き、ポイント6から10までをご紹介します。前回の記事同様、各ポイントには令和2年7月豪雨関連の資料を例として付けています。記事の末尾には全てのポイントと詳細なチェック項目をまとめた図も付けていますので、ぜひお役立てください。

画像を拡大 図1. 気象災害事例を調べる時の10のポイント(筆者作成)

ポイント6. いつどこでどのような被害が生じたか?

気象災害で被害が発生した場所や発生した時間、被害の内容を詳しく調べていきます。河川管理者や自治体が作成した資料の他、被災者の生の声を集めた新聞報道や資料なども非常に参考になります。顕著な事例の場合には専門家による報告が行われていることもあるので探してみましょう。土砂災害や河川の氾濫などが発生した場所には地形的な脆弱(ぜいじゃく)さが隠れていることが多く見られます。

確認したいポイント
・浸水被害が発生したのであればそれは計画規模の浸水か、想定最大規模の浸水か
・地形的に脆弱な場所で災害が発生していないか
・時系列にすると何の災害から起こり始めていたか
画像を拡大 図2. 令和2年7月豪雨で入所者14名が水害の犠牲となった特別養護老人ホーム千寿園と河川の位置関係図。浸水が元々想定されていた区域(図右側のピンク色部分)と実際に浸水した箇所(図右側の青色部分)の対応は良い。水害が起こると想定されていたところで起こった災害であるといえる(出典:「令和2年7月豪雨災害を踏まえた高齢者福祉施設の避難確保に関する検討会」(厚生労働省)資料より https://www.mhlw.go.jp/content/siryou1-7.pdf