鼻と口の役割 

鼻には、空気を浄化するエアコンディショナーの働きがある。異物を吸着した粘膜は、粘膜表面にある繊毛(せんもう)細胞によって、ベルトコンベアーのように少しずつ鼻から咽頭へ送り出され、無意識のうちに食道に飲み込まれたり、咳払いの時に外に吐き出されたりする(図1)。 

のどの粘膜にも同じような繊毛があり、1分間に1000回振動する繊毛活動で粘膜を外へ送り出すことで、のどから入ったウイルスなどの異物を除去する働きを持つ。しかし、気温が低くなり、空気が乾燥すると粘膜の表面が傷つき、繊毛運動が弱くなったり止まったりし、ウイルスが侵入しやすくなるのだ。さらに風邪やウイルスは鼻やのど、気管の繊毛細胞に感染することができるため、そこで増殖しながら細胞を破壊して外に飛び出し、近くの細菌に感染する。繊毛は破壊されると抜け落ちてしまうため、さらに防御機能が低下し、空気と一緒に吸い込まれた毒素の強い細菌を外へ押し出す力も弱まるため、二次感染が起こりやすくなる。 

平時からのうがいは、繊毛活動に代表されるのどが本来持つ防御機能を高めるとともに、物理的な洗浄効果や、さらにうがい薬を使うことによって口腔やのどを清潔に保つことを可能にする。その結果、のどの粘膜の機能が回復して活性化し、感染の予防に役立つのだ。

正しいうがいの仕方 
正しいうがいの仕方を確認しよう。まず、水もしくはうがい液を口に含み、唇を閉じて頬の筋肉を動かし、「グチュグチュ」と15秒程度口のなかを洗い、そのまま飲み込まずに吐き出す。次に同じく水やうがい液を口に含み、上を向いて「オ~」と15秒程度発声しながらうがいを行う。冷たい水が口のなかで温かく感じてきたら、水を吐き出す。これを2~3回繰り返すのだ。 

村松氏は「よく、『ガラガラっていいましょう』という人もいますが、ガラガラですとのどの奥まで水が入っていません。『オ~』という発音で、できればのどの奥が震えるまでやってください」と話す。「これには少し練習も必要です。のどの奥の筋肉は普段使いませんので、毎日やることでのどの筋肉を鍛える効果もあります」。正しいうがいの仕方をここに記載した(ダウンロード可能)ので参考にしてほしい。 

また、うがい薬にはポピドンヨード系の医薬品のものがあるが、こちらはあくまでのどの「治療用」。通常のうがいの時に毎回使用すると、かえって繊毛を傷める場合もあるという。通常のうがい薬は指定医薬部外品でメンソール系の、爽やかだがそれほどのどに刺激がないものを使用して欲しいとしている。