2021/08/06
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識
③被害が起こったときの対応を含めて分かりやすく確実に伝える例
災害時のメッセージに関する3つ目の工夫点は、被害が起こったときに何をすべきかまで含めておく例です。次の図はオランダのマーストリヒト市役所が水害対応の特設ページに掲載していたものです。ここでは「いつ市役所に電話するか?」と題した見出しの中に、ピクトグラムを使った図が取り入られています。

この図は消防が作成したものですが、自分で対処すべきこと(Zelf regelen)、市役所に連絡すべきこと(Bel je gemeente)、緊急用ではない番号で消防署に連絡すべきこと(Bel 0900-0904)、緊急の電話番号を使って消防に連絡すべきこと(Bel 112)が分かりやすく整理されています。例えばトイレから水が吹き出したり、自宅が浸水したりしたときには自己対処、自分で安全を確保できないときは緊急通報の112番(日本の119番や110番に相当)といった具合です。
企業の防災対策で言えば、どの規模の被害が発生したときに誰がどう対処するかなど、こうした図を参考にして事前に整理し、災害が見込まれるときに随時シェアしていくのはどうでしょうか? そうしておけば、復旧活動を取らなければならないときの混乱をある程度減らすことができるのではないかと思います。
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