2016/01/24
誌面情報 vol53
企業の危機管理担当者向けアカデミーを開校
ニュートン・コンサルティング株式会社

BCPやリスクマネジメントのコンサルティング業務を展開するニュートン・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、副島一也社長)はこのほど、経営を推進する力としてのリスクマネジメントを教える「ニュートン・アカデミー」を開校した。①リスクマネジメント、②ITガバナンス、③危機管理/BCP、④ISOの大きく4つをテーマに、経営層から管理者、実務担当者、そして一般従業員と幅広い層をターゲットに、レベルに応じた授業を展開していく。
昨年11月24日には、同社が入る千代田区麹町の相互半蔵門ビルディング内のセミナールームで開校記念講座を開き、基調講演として日産自動車グローバル内部監査室の菅原正氏と、京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授の牧紀男氏が演台に立った。菅原氏は、90年代後半の経営が厳しかった時代を乗り越えて今日に至った日産のリスクマネジメントの取り組みについて語り、時代や組織内外の環境の変化に応じたリスクマネジメントの展開が必要とした。その上で、「リスクマネジメントはアクセルに対してブレーキというようにネガティブなイメージで受け止められることがあるが、そうではない。追い越し車線を全速力で追いかけていくとき安全装置のようなものだ」と語った。さらに「様々なリスクに対してきちんと対応できている状況にしていくためにはPDCAサイクルを回していける経営を含めた仕組みが必要」と強調した。
牧氏は、マルチハザードを考慮した防災計画の作り方について発表し、リスク評価を行う上で、単に発生確率と影響度でリスクを定量的に分析するだけでなく、組織として影響度を重視するのか、確率を重視するのか、自らの指標をしっかりと定めた上で対策を行うことが重要とした。また、計画の実効性を持たせるためには「自分たちで策定した計画である」という“我が事意識”を持たせることが重要で、そのためには、計画策定のプロセスで、各部局の担当者、職員が参加できるようにすることがポイントになるとした。

ニュートン・アカデミーの校長としての立場を担う同社副社長の勝俣良介氏は「モットーは経営に役立つスキルが確実に身につく場を提供すること。経営に役立つためには、リスクマネジメントに関する知識やテクニックが経営の何に役立つのか、それがどうやったら役立つかを常に意識していないといけない。さらに、スキルが確実に身につくようにするには、自らの頭で考えることが重要で、そのような場を提供していきたい」とあいさつした。
当日は、企業の危機管理担当者ら約20人が参加。基調講演に続き、参加者は4グループに分かれ、「リスクマネジメントの見える化」「BCP評価」「サイバー対応」「演習」の各テーマについて、課題と対策を話し合った。参加者からは「他社と本音で意見交換ができたことでとても刺激になった」「今まで考えていなかった意見を聞くことがでニュートン・アカデミーのカリキュラムき勉強になった」などの感想が出ていた。
誌面情報 vol53の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年12月5日配信アーカイブ】
【12月5日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報その2 企業の対応状況
2023/12/05
-
-
エマージング・リスクにどう備える1組織だけでなく、社会としての対応が必要
エマージング・リスク(emerging risks:新興リスク)と呼ばれる、これまであまり認識されていなくて急に出現するようなリスクへの関心が世界的に高まっている。10月にはエマージング・リスクの国際規格「ISO31050」が発行された。今なぜエマージング・リスクへの関心が高まっているのか、組織はどう対応していけばいいのか、日本リスクマネジメント学会(理事長:亀井克之関西大学教授)関東部会の会合で、会員に聞いた。
2023/12/02
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年11月28日配信アーカイブ】
【11月28日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:今こそ学び直す!南海トラフ地震臨時情報 その1
2023/11/28
-
東京都がオールハザード型Step.1を公表
東京都は11月24日、都政BCPを改定した「オールハザード型Step.1」を公表した。これまで主に首都直下地震を想定してきたが、東部低地帯における大規模風水害、島しょ地域での南海トラフ地震による津波被害、火山噴火、中規模な災害など、災害の事象や規模によって対処方法は多岐にわたることなどから、柔軟に対応できるBCPに改定した。これに併せて、被害の実態に即した執行体制を構築することで、災害対応力も一層向上させるという。
2023/11/27
-
南海トラフ地震臨時情報への理解と対応
リスク対策.com はこのほど、気象庁が2019年5月31日から運用を開始している「南海トラフ地震臨時情報」について、企業がどの程度理解し、対応を検討しているかなどを明らかにするため、アンケート調査を実施した。その結果、臨時情報の内容については概ね理解がされているものの、対応について検討したり、具体的な計画を策定している企業は一部にとどまることが明らかになった。
2023/11/26
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方