2018/04/25
ニュープロダクツ

西松建設は24日、IoT技術を活用した、安価で手軽に開始できる傾斜監視クラウドシステムを5月から提供を開始すると発表した。小型センサーボックスを傾斜監視したい箇所に設置するだけで計測を開始。計測したデータは無線通信によりクラウドサーバーへ転送され、パソコンやスマートフォンなどでいつでもどこからでも確認することができる。巡視による目視点検が困難な斜面、擁壁、護岸、柱状物などの傾斜を把握したい施設で活用できる。
屋外仕様の小型センサーボックスを計測したい場所に設置するだけで計測と通信を開始でき、電源はリチウムイオン電池のため給電や通信の配線作業が不要。省電力のため、1時間に1回送信する場合、電池で2年間利用ができるだけでなく、既存の類似技術と比較しトータルコストを約半分に抑えることができる。遠隔地からもパソコンやスマホで計測データを常時確認でき、設置後もクラウド上の管理画面で計測間隔やアラート通知などの設定変更が可能。あらかじめ設定した値を超過した場合に、メールなどでアラート通知が可能できる。
昨今、豪雨、地震、火山噴火などによる土砂災害リスクが高まるなか、インフラ施設の斜面部の点検・監視の必要性が増大しており、さまざまな監視技術が国内各所で導入されている。しかし、現状の無線通信を用いた傾斜監視技術は、通信機器、通信料、電力供給費用などのコストが1カ所あたり約800万円前後と高価なため、多くの箇所に導入できず、点検員の巡視による目視点検で対応している。点検員による目視点検では軽微な変状を捉えにくいうえ、巡視業務は多大な労力が必要だった。
センサーボックスの寸法は、縦・横それぞれ10cm、奥行き4cm、重量は約300g。計測項目は、傾斜角度(3軸方向、精度:約0.2~0.3°)、衝撃検知(2~16G)、位置測位(GPSによる)、方位角(コンパス機能)、温度 (ボックス内部)。価格は、センサーボックス本体費が19万8000円/台 (利用可能期間:2年間まで)、クラウド利用料が 2000円/台・月(いずれも税抜き)。
■ニュースリリースはこちら
https://www.nishimatsu.co.jp/news/news.php?no=Mjcx
(了)
防災・危機管理関連の新製品ニュースリリースは以下のメールアドレスにお送りください。risk-t@shinkenpress.co.jp
リスク対策.com:横田 和子
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
津波による壊滅的被害から10年
宮城県名取市で、津波により工場が壊滅的な被害に遭いながらも、被災1週間後から事業を再開させた廃油リサイクル業者のオイルプラントナトリを訪ねた。同社は、東日本大震災の直前2011年1月にBCPを策定した。津波被害は想定していなかったものの、工場にいた武田洋一社長と星野豊常務の適切な指示により全員が即座に避難し、一人も犠牲者を出さなかった。震災から約1週間後には自社の復旧作業に取り掛かり、あらかじめ決めていたBCPに基づき優先業務を復旧させた。現在のBCPへの取り組みを星野常務に聞いた。
2021/01/21
-
台湾をめぐる米中の紛争リスクが高まる
米国のシンクタンクCouncil on Foreign Relations(CFR)は、2021年に世界中で潜在的な紛争が起こる可能性を予測する最新の報告書を公表した。報告書は、台湾問題における米国と中国の深刻な危機を、世界の潜在的な紛争の最高レベルとして初めて特定した。
2021/01/20
-
これからの国土づくり 「構想力」と「創意工夫」で
政府の復興構想会議のメンバーとして東北の被災地を訪ね、地域の再生や強靭な国土づくりに多くの提言を行った東京大学名誉教授の御厨貴氏は当時、これからの日本の行方を「戦後が終わり、災後が始まる」と表現しました。あれから10年、社会はどう変わったのか。いつか再び起こる巨大地震をめぐり、政治・行政システムや技術環境、市民の生活や仕事はどう進歩したのか。これまでを振り返ってもらいながら、現在の課題、今後の展望を語ってもらいました。
2021/01/14