リスクの追加ごとに役割分担が増える問題をどう解決すればよいのか(写真:写真AC)

■単一リスク対応の呪縛

単一リスク対応型のBCP(地震BCPなど)を「マルチハザードBCP」に移行しようとすると、いくつか考え方や手順の変更が必要となることはこれまで述べてきた通りです。今回はそうした変更の中でもとくに注意が必要な「危機管理体制」、すなわち対策本部組織の構成の見直しについて考えてみましょう。

みなさんの会社で策定したBCPの対策本部(災害対策本部など)の役割一覧に関するページを開いてみてください。「災害対策本部長」から始まり「安否確認担当」「救援・救護担当」「炊出班」「復旧チーム」といった、隅から隅まで地震をイメージした役割分担となっているのではないでしょうか。

地震を想定している以上、役割の書き方がこのようになるのは当然のことではありますが、「マルチハザードBCPの対策本部」の視点で捉えようとすると、とつぜん応用が効かなくなってしまうのです。

リスクの数が増えるごと、対策本部組織の役割分担に新しい役割を追加しなければならない(写真:写真AC)

パンデミックを想定すれば、感染症対策の役割(感染予防対策担当、感染予防教育担当など)を書かなくてはなりません。熱波災害のリスクを想定すれば熱中症対策班、重要機器・設備の遮熱対策班といった役割が必要です。こうしてリスクの数が増えると、限られた人数に対してリスクごとに複数の新しい役割を追加していかなくてはなりません。

この結果、複数のBCPに複数の役割を割り当てられている本人は「自分がどのBCPのどんな役割を担うのか、ややこしくてよくわからん!」ということになってしまいます。さて、マルチハザードBCPではこの難点をどう解決すればよいのでしょうか。