コロナ禍は医療業界のBCP意識の低さを浮き彫りにした(写真:写真AC)

諸外国に比べて「さざ波」と称させる桁違いに穏やかな感染状態で、日本ではなぜ医療崩壊が起きたのだろうか。

東日本大震災で高まったBCP意識

東日本大震災などの大規模自然災害を受け、事業継続計画(BCP)の必要性が再認識されたことはご承知のとおりだ。特に日本は欧米先進国と比較してこのBCPと、それをマネジメントにまで発展させた事業継続マネジメント(BCM)の取り組みが遅れていたため、サプライチェーン再構築などの必要性が高まった。

多くの方は記憶にあるだろうが、震災直後、製紙工場の被災により新聞のページ数が減少し、石油化学コンビナートの被災によりカラー刷りがなくなった。私自身、当時は調達部門の責任者だったため、全国の工場に対し生産材料の欠乏なきよう統制管理を実施、東奔西走の毎日で事業継続の必要性を肌で感じさせられていた。

また、その後、タイの洪水によりハイテク部材の日本への供給がひっ迫する状況が発生した時も同様だった。

3.11以降、日本企業にもBCPが普及、相応の努力が払われてきた(写真:写真AC)

これらの災害は、日本企業の経営に事業継続の重要性を突き付け、その対処として二重調達環境の構築や従業員が通勤できない場合の対応策等、各社は相応の企業努力を実行している。想定事案の基本は大規模震災であったが、パンデミックも想定すべきとの議論も盛んに行われていた。今回、急な在宅勤務によるリモート対応に一定程度対応できた企業は、事前検討していた要因が大きいのだ。