安倍元首相暗殺事件をめぐる現在の情報環境を、リスク管理・危機管理の観点から、できる限り論理的思考にもとづいて論考(写真:写真AC)

令和4年7月8日、安倍元首相が凶弾に倒れ、日本中、いや世界中が震撼した。

世界の反応は、安倍元首相という政治家が、一議員となった状況でもなお世界に影響力を持っていることを再認識させられるものであった。半面、日本国内では、反政府・反権力勢力による反安倍の声が今までにも増して高まってもいる。

こういう状況では、本来、軸足をしっかりと保ち、情報の精査・分析を確実にし、いわゆるデマゴギーに振り回されない冷静な行動が必要であろう。

現在の情報環境は混沌としている。本質的で必要不可欠な検証や議論は、果たしてなされているだろうか。メディアから流れる情報は首を傾げるものが多く、あたかも本質から目を逸らし、問題を矮小化する意図があるのではと勘ぐってもしまう。

この傾向は慰安婦問題の捏造などで国際問題にまで発展させた過去から続くものだろうが、最近もコロナ禍や東京オリンピック騒動、日本会議から平和安全保障法制、モリカケサクラなど、攻撃的な政権批判がネットを中心に広まることで、より顕著に露呈するようになったと考えている。

企業の危機管理において、情報に注意することと論理的思考を強化することは、想定外に備えるという意味でも有効(写真:写真AC)

暗殺事件の真相はいまだ闇に包まれている。この状況において、情報への向き合い方に警鐘を鳴らし、論理的思考を強化することは、国家運営だけでなく、企業経営にも重要であろうと筆者は判断する。特に危機管理部門においては、マニュアルやガイドラインが通用しない、いわゆる想定外の事態が起きたときに向け、情報に注意することと論理的思考を強化することは有効であろうと考える。