エレベーターから脱出!皆さん、もしかしてアレを思い浮かべませんか?

ずっと救出を待ったけど、連絡も取れない、熱中症の危険もある。そんな時、人は、脱出したくなります。そうすると、多くの人はアレができないかと思っちゃうわけです。そう、アレ!マンガとか、映画のお約束のアレです。

人気アニメの『名探偵コナン』にもアレのシーンがありました。

■『名探偵コナン』事件ファイル第304話「揺れる警視庁 1200万人の人質」(ytv)
http://www.ytv.co.jp/conan/archive/k1169253.html

『スパイダーマン:ホームカミング』でもアレをやってました。


映画『スパイダーマン:ホームカミング』予告①/SonyPicturesJapan(出典:Youtube)

そう、アレとは・・・エレベーターの上を開けて脱出するというシーンです。「上だ!上が開くはず!」と絶対、言い出す方がいそうです。そうすれば脱出できるはず・・・。でも、残念でした。日本のエレベーターは、上部が内側から 開くものはないんです。 外側からだと開けられるかといえば、最新のものは、救出口すらないものもあります。

だから、救助を待つしかないのです。でも、何日も待てない・・・。この時、あるエレベーター保守会社が受け持っているエレベーター数は1人につき最大300件だそうです。1人でこれだけの数が可能になったのは、最近のエレベーターには遠隔監視や点検機能がついた事もあって、現地に向かう点検は3ヶ月に1回で済んでいるためなのです。でも、災害時すべて救出や復旧が必要になったら・・・・1人が担当している数だけみても1日で回れない可能性が高そうですよね・・・

そんな訳で住民同士でエレベーター脱出訓練をしている所も増えています。住民同士で脱出できれば、お互いすぐ助けられますよね!

脱出訓練の動画はこちらです。


エレベーター閉じ込め救出訓練/i-tec24(出典:Youtube)

 

まずは全体の流れの説明があって、エレベーター機械室を見学して巻上機や地震管制装置を見学。そして電源をオフにするスキルを学びます。

(資料提供:i-tec24)
 

次に、エレベーターホール側から解除鍵を使って、扉を開けます。この時、介助者が作業者のベルト等を後ろからしっかりと握り、万一に備えます。落下の危険がある作業ですから、安全確保、重要ですね!

(資料提供:i-tec24)
 

扉が開いてエレベータのカゴとホールの床の段差があまりない時は、そのまま中の方を救出できます。

(資料提供:i-tec24)
 

段差がある時は、カゴの中に脚立をいれて、カゴ内から昇るようにして救出します。もちろん落下の危険がないか注意しながらですが、ここ、個人的に好きな場面です。楽しそう!

(資料提供:i-tec24)

こんな感じでマンション住民で脱出訓練をすると、お互いがお互いを助けるんだという自覚も芽生えて、その他の防災対策も進むかもしれないなと思います。自分たちでできる人が増えれば、作業員も本当に困った人だけに向かえますよね。

エレベーターの脱出訓練をするところが増えていると言ってもまだまだ防災に関心がある人が少数派なので、それほどはいません。去年は150回ほど講演しましたが、お聞きしたらエレベーターの脱出訓練をした方はたった1人でした。今年はやっともう1人いらっしゃいました。

珍しいので、その方たちにはどこで実施したかお聞きしています。1人目は、赤ちゃん連れのママで、職場でやりましたっておっしゃいました。で、どこの職場かお聞きしたら「東京消防庁です!」っておっしゃっていました。そこならやってそう(笑)・・もう1人は医師の方で、病院で実施したことがあるとのことでした。病気の患者さんが閉じ込められたら健康な方より体力が持ちません。しっかり災害対策されている病院だと心強いですよね。

ということで、みなさんの職場や自宅でもエレベーターがあるのであれば、対策を考えてみてはいかがでしょうか?常に想定外を考えるということであれば、自分たちでできることを増やしたほうがよさそうです。 そして、楽しい訓練ならば防災仲間も増えそうです!

(了)