サポーターの観客席清掃は美徳か偽善か
第30回:多様性に対する寛容度と鈍感度(2)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2022/12/26
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
スポーツにまつわる場外乱戦、まずはワールドカップサッカーに関わる内容のうち、日本が本来胸を張るべき事項から論じたい。代表格は試合後の会場におけるサポーターによる清掃作業であろう。同様に代表選手のロッカー使用後のきれいさも、日本の美徳として世界に称賛されている。
ただ、なかには美徳といわず、偽善として酷評し批判する論も存在する。その代表例をいくつかあげて、是非を考えてみよう。
一つが、清掃員の仕事の領域を侵すな、生業を奪うべきではないという主旨の論である。世界ではいまだ身分社会の構造が色濃く、清掃員という与えられた役割をその役にない階層の観戦者が清掃してしまうことで、雇用の喪失を招くというのだ。
あるいは「韓非子の侵官之害」に表現されるような越権行為と判断されるのであろうか。たとえよかれと思ってやった行為(王に冠をかぶせる係が、王が風邪をひかないよう寝ている王に衣をかぶせた行為)でも、職分を越えた行為には厳罰を与えられるべきというのだろうか。
もう一つは、偽善として「気持ちが悪いからやめてほしい」といい放つ内容だ。自発的な行為ではなく、周りの目を気にしてやらされての偽善行為だという指摘であり、その根拠は、試合後のスタジアムなど注目が集まる場所では清掃していても、他の場所ではごみを捨てる行為を同じ人間が平気で行っているという現実からの指摘である。
これらの論をどう考えるべきなのだろうか。
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