緊迫度を読み違う企業に欠けている姿勢
第37回:経済安全保障に向き合う時代変化(3)

多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2023/04/13
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
前回、グローバル環境の変化に注目すべきとしたが、その後も数々の動きがあった。何といっても岸田総理のウクライナ電撃訪問である。意図した結果かどうかは別にして、中露首脳会談が行われる、まさにそのタイミングに行われたのである。
歴史上、時の大臣クラスの戦地訪問がドタキャンされたことが複数回あったと聞いたことがあるが、そのことを考慮に入れると、ドタキャンして計画自体なかったことにしても不思議ではなかった。つまり、たとえ偶然であったとしても、少なくとも中止という判断に至らなかった事実は大きい。
日本国内では、ウクライナに贈呈した『必勝しゃもじ』を揶揄して矮小化するいわれ方もあったが、日本が国家として取るべき方向性を結果として強烈に示したことは、国際社会で大きなインパクトがあったはずだ。それがたとえ外圧による行動であったとしても、だ。
グローバル環境では、フィンランドのNATO加盟が、唯一反対していたトルコの議会申請が承認され確定した。そして経済的にはイギリスのTPP加盟が大筋決まり、一方でホンジュラスは親中姿勢を打ち出し台湾との断交を発表した。
このように世界では、米中対立が進展した新冷戦といってもよい環境が整い、その前提でのブロック経済体制がさらに加速している。その先頭を行っているのが半導体関連のブロック経済化であることはニュース報道でも取り上げられている。
そして林外相が中国から帰国した直後に、強制労働企業を公共事業などから排除する閣議決定が行われた。外交上の対立と経済は別だという時代は終焉を迎えようとしている現実を直視しなければならないだろう。
もちろん、その状況下で、自由主義国家勢ではなく専制主義国家勢側でのビジネスを優先する選択をする企業があってもよいだろう。それはそれで一つの選択である。が、自由主義国家勢からの規制を受け、反勢力との扱いを甘んじて享受するならば、という前提付きであるのはいうまでもない。その結果がビジネス上の最善の選択とは、筆者には思えないだけである。
再考・日本の危機管理-いま何が課題かの他の記事
おすすめ記事
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/15
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
防災教育を劇的に変える5つのポイント教え方には法則がある!
緊急時に的確な判断と行動を可能にするため、不可欠なのが教育と研修だ。リスクマネジメントやBCMに関連する基本的な知識やスキル習得のために、一般的な授業形式からグループ討議、シミュレーション訓練など多種多様な方法が導入されている。しかし、本当に効果的な「学び」はどのように組み立てるべきなのか。教育工学を専門とする東北学院大学教授の稲垣忠氏に聞いた。
2025/04/10
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方