裁判手続の基礎知識―流れと概要―【労働審判編】
労働審判手続の流れ・特徴・概要等
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2023/09/13
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
前回、民事通常訴訟の第一審における手続の流れと概要についてご説明しました。民事通常訴訟への対応も専門性が要求され得るものではありますが、さらに高度な専門性が必要となると考えられているのが労働審判という制度です。
労働に関する紛争については、民事訴訟を提起してその解決を求めることもできますが、ケースによっては労働審判の申立てをしてその解決を求めることも可能です。
労働審判とは、裁判手続の種類として、「訴訟」ではなく、「非訟」に分類されるものです。非訟については、一般に、裁判所が後見的な立場から、合理的な裁量に基づき、権利義務の具体的内容の形成を目的とするものであるなどといわれています。このことは、労働審判法(以下、法名省略)において、「紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決を図ることを目的とする」(1条)とされていることにも表れているといえます。
今回は、労働者側でも、使用者側(事業主側)でも、労働紛争の解決の際に利用される可能性がある労働審判について取り上げてご説明したいと思います。
労働に関する紛争であれば何でも労働審判手続を利用することができるわけではありません。「労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争たる」「個別労働関係民事紛争」(1条)が、労働審判手続の対象となります(5条1項)。例えば、解雇の効力が争われているもの(いわゆる不当解雇事案)や、未払賃金の支払を求めるものなどが典型的です。
また、労働審判事件の管轄は地方裁判所ですが(2条1項)、裁判官のみが労働審判手続を行うのではなく、労働審判官1名と労働審判員2名の計3名から成る労働審判委員会が構成され、同委員会により手続が行われます(7条)。
労働審判官は「裁判官の中から指定」され(8条)、労働審判員は「労働関係に関する専門的な知識経験を有する者のうちから任命」されます(9条2項)。この労働審判員については、実務上、労働者側・使用者側(事業主側)のそれぞれから選ばれますが、「中立かつ公正な立場において」職務を行うものとされています(9条1項)。
おすすめ記事
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方