2013/03/11
防災・危機管理ニュース
鹿島建設は3月2日(土)、東京湾北部を震源とする巨大地震(M7.3、最大震度6強)が午前7時00分に発生したことを想定したBCP訓練を実施した。
同社は建設業という職業上、休日・夜間に大規模地震が発生した際でもいち早く体制を整え復旧活動を開始できるよう、災害復旧活動の拠点となる本社・支店・寮などに徒歩参集が可能な社員約700人を、第1次参集および第2次参集の要員に任命。今回の訓練では、第1次参集要員約300人を対象に、休日発災時の参集、拠点の立ち上げ、及び復旧初動活動に関する習熟訓練を行った。
あわせて首都圏在住者および全国の従業員約1万人を対象に、安否確認訓練も実施した。
同社では東日本大震災後、通信手段の多様化、備品の拡充に加え、被災状況や復旧対応に関する様々な情報を共有する「BCMプラットフォーム」(※)の各種システムも増強したことから、今回の訓練は、参集要員全員が初動活動全般の幅広い業務を習得することを目的とした訓練とした。また、震災対策本部長である社長以下、本来の対策本部関係者が集合できるまでの情報連絡手段として、携帯電話のメーリングリストを使った連絡訓練も行った。
同社では、毎年8月末から9月上旬に業務時間中の発災を想定した訓練、2月に休日・夜間の発災を想定した訓練を実施しており、昨年からは後者の訓練を3月11日付近の休日に実施している。
(※)「BCMプラットフォーム」:地震発生直後に被災状況や復旧対応状況に関する情報を共有する「統合情報基盤」
■目的:休日・夜間に大規模地震が発生した際でもいち早く体制を整え復旧活動を開始できることを図る
■実施日時:平成25年3月2日(土)
■実施場所:本部(本社ビル、赤坂別館)、支店(関東、東京土木、東京建築、横浜)ならびに各拠点(技術研究所、首都圏の社宅・寮)
■災害想定:東京湾北部を震源とする巨大地震(M7.3、最大震度6強)が午前7時00分に発生。本部(本社ビル、赤坂別館)、支店(関東、東京土木、東京建築、横浜)ならびに他の拠点(技術研究所、首都圏の社宅・寮)が停電、電話等の通信手段が一部断絶した。
■主な訓練内容:
●本部・各拠点の立ち上げ訓練
本部(本社ビル、赤坂別館)、支店(関東、東京土木、東京建築、横浜)ならびに他の拠点(技術研究所、首都圏の社宅・寮)が停電、電話等の通信手段が一部断絶したという想定で、本部・各拠点の立ち上げ訓練を実施。参集要員が必要備品を指定場所に配置し、非常用電源の利用等を前提に、パソコンやテレビ、IP電話(※)、MCA無線、PHS、衛星携帯電話等の情報・通信機器を設営した後、本部・各拠点間で各種機器の接続確認や通信訓練を行った。また、震災対策会議等で利用するTV会議システムについても同時に立ち上げ常時接続することで、本部と各拠点間でリアルタイムに情報を共有した。
大規模災害時においては、一般の固定電話、携帯電話による通話が輻輳により困難になることが想定される。同社では、多種多様な機器の新規導入や入替えを随時行うことにより、いち早く本部・各拠点を立ち上げるべく、情報通信インフラの整備充実に取り組んでいる。
(※)IP電話:同社専用のインターネット回線を利用した電話で、非常用電源を備えている。
震災対策本部(本社)および社宅・寮での立ち上げ・災害復旧活動訓練
●復旧初動活動に関する訓練
施工中現場における被災情報の報告訓練のほか、得意先からの応急復旧要請により迅速に対応できるよう支援物資や復旧資材の調達、搬出入に関する訓練を行った。協力会社や各拠点間との連絡体制を確認するとともに、「BCMプラットフォーム」等により復旧初動活動をより実践的に行った。
・現場における初期被災の報告訓練
「BCMプラットフォーム」上にある「災害時現場速報システム」を用いた初期被災報告訓練を実施。シ
ステム登録にあたっては、停電を想定して各現場担当者が携帯WEBやスマートフォンから情報を登
録した。また、施工済物件については、被災情報や復旧工事を管理する「建築復旧工事データベー
ス」の運用確認を行った。
・協力会社を交えた応急復旧に関する訓練
協力会社との連絡体制を確認するとともに、復旧活動が可能な協力会社と保有資機材、車両の情報
を管理する「鹿島協力会社連絡システム」を用いた訓練を実施。協力会社ではこれらの情報をシステ
ムに入力、支店では入力情報の収集および収集した情報を関係者へ周知、協力会社の車両手配、
得意先までの支援物資発送の手順確認等を行った。
・技術研究所での支援物資と建設資機材の搬出入訓練
同社技術研究所(東京都調布市)は、被災を免れた支店から支援物資を受け入れ、被災した拠点や
得意先に送り出す首都圏発災時の物流拠点の一つとなる。今回の訓練では、復旧活動を行うための
必要物資と建設資機材を事前リストにより点検するとともに、物資の受入れ場所の確認、フォークリフ
トを使って運搬車両からの荷受けや発送作業訓練を行った。また、都内各所への搬送については、
大地震発生時の車両交通規制を踏まえた計画とした。
現場での初期被災報告訓練 建設資機材の搬出入訓練(技術研究所)
「緊急通行車両通行証」受領のため警察署へ向かう訓練 各拠点との情報伝達訓練(左右とも技術研究所)
写真は鹿島プレスリリースより
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
過疎高齢化地域の古い家屋の倒壊をどう防ぐか
能登半島地震の死者のほとんどは、倒壊した建物の下敷きになって命を落とした。珠洲市や輪島市の耐震化率は50%程度と、全国平均の87%に比べ極端に低い。過疎高齢化地域の耐震がいかに困難かを物語る。倒壊からどう命を守るのか。伝統的建築物の構造計算適合性判定に長年携わってきた実務者に、古い家の耐震化をめぐる課題を聞いた。
2024/03/28
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月26日配信アーカイブ】
【3月26日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:四半期ニュース振り返り
2024/03/26
-
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月19日配信アーカイブ】
【3月19日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:副業・兼業のリスク
2024/03/19
-
リスク担当者も押さえておきたいサイバーセキュリティ対策の最新動向
本勉強会では、クラウド対応のサイバーセキュリティ対策の動向を、簡単にわかりやすく具体的なソリューションの内容を交えながら解説します。2024年3月8日開催。
2024/03/18
-
発災20分で対策本部をスタートする初動体制
総合スーパーやショッピングモールなど全国各地のイオン系列の施設を中心に設備管理、警備、清掃をはじめとしたファシリティマネジメント事業を展開するイオンディライト(東京都千代田区、濵田和成社長)。元日に発生した能登半島地震では、発災から20分後にオンラインの本社災害対策本部を立ち上げ、翌2日は現地に応援部隊を派遣し、被害状況の把握と復旧活動の支援を開始しました。
2024/03/18
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方