支援行動と迷惑行為を分けたもの
第57回:価値観の棚卸しの必要性(3)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2024/02/15
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
正月に起きた能登半島地震に関してさまざまな情報が飛び交ったことは前回も記述した。今回は、政治家や著名人も含めた一般の支援活動に関する情報に触れる。賛否両論渦巻く状態であり、冷静にそれらを俯瞰してみたい。
災害発生時において第一義的に重要なのは、自助・共助による被災者自らの安全確保であることは疑う余地はない。そして不幸にも被災され危機に陥っている方々に公助での救命救助を急ぎ、同時に避難者への生活支援がゼロ次フェーズとして最重要となる。
この期間は災害の規模や状況によって異なるが、数日から1週間程度が通常で、自衛隊や消防レスキュー隊(特別救助隊)の活動が活発に行われる。その指揮命令・統制、現地の正確な情報管理のため、政府や自治体の体制が緊急に整えられる。
前回も記述したが、今回の震災において、この活動は速やかに行われており、その後の国会答弁でも、他の震災時との投入人員数の差に基準の異なる数字を挙げているなど、印象操作の欺瞞が明らかになっている。
確かに被災者側の立場において、いろいろと不足の点はあるだろうし、要望もあるのは当然だ。が、それはこのような事態において完全にすべての人が満足する状況はあり得ず、そのことをもって批判するのは少々早計であろう。
そしてこの時期、統制管理すべき自治体からは、道路事情が悪化しており現地の受け入れ態勢も整わず、一般の移動、現地入りは控えるように発信されていた。この状態で、現地の発信情報に反して現地入りする危機管理・統制上の当事者ではない政治家や団体は、けっして許されるべきではないというのが危機管理の立場である。
「現地の情報が政府に届いていない」「被災者が困っている」「政府の対応が悪い」などと批判し、自らの活動を正当化していても、それを許していては情報混乱に拍車をかけるリスクが高いことを忘れてはならない。
本当によかれと思ってやっていたとしても、それは秩序を乱すと批判されてしかるべきであり、パフォーマンスと揶揄されるのも仕方がないのである。そのことを理解しない擁護論を展開するのも同様、単なる批判のための批判に過ぎず、建設的な議論にはならない。
再考・日本の危機管理-いま何が課題かの他の記事
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/15
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方