2018/08/17
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
水難事故の約半分は「周りが気がつかなかった」。泳ぎがうまい下手は全然関係ない「本能的溺水反応」
ところで、佐久市医師会の教えてドクターのアプリやHPに掲載されている、溺水のこの図をご存知ですか?

子育て世代の方にご紹介すると、これ見たことある!とか、子育て支援センターに貼っているという反応が即かえって来るほど、有名なイラストです。
この「教えてドクター」アプリについては、災害時の時のミルクや母乳の話の記事でも紹介しました。
■母乳育児でもミルクを備蓄??子育て中の親に優しい防災情報を!佐久市医師会情報がステキ!
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5279
こどもの病気の話など普段の子育てに必要な情報がつまっていて、いつも使えるアプリだから災害時の情報にすぐアクセスすることができる優れものです。ファンなので私は講演で紹介しまくっています!
で、この溺水の図にあるように、お風呂場でちょっと目を話したすきにこどもがこんなふうに沈んでいたことがある!と、証言する方は私の身近にもいました。事故にならなかったので、統計にはでてこないものの、怖い思いをした保護者の方が多いから、子育てあるあるとして多数シェアされているのです。
お風呂場だけでなく、私はこれをプールで見たことがあります。アルバイトでスイミングのインストラクターしていた時の事。自由時間で泳ぎのうまい小学生が泳いでいたのですが、何かがおかしいのです。
右図にあるような想像で溺れた時の様子のように、バシャバシャなんてしていません。受け持っていたクラスで普段から泳ぐのはもちろん潜ったりするのも楽勝のお子さんだったのですが、何だか沈んでいく感じなのです。そう。静かにって言葉がぴったりの感じで。
なので、慌てて抱き上げたのですが、本人も何が起こっているかわかっていない風でした。息をするのに精一杯で、手を動かすとか、他の動きが全くできなくなっていた、そんな感じでした。
泳ぎがうまくてもプールで溺れることが私には衝撃でしたが、このイラストを見て、あれが「本能的溺水反応」だったのかなと後から理解しました。
プールでも起こるのであれば、流れが複雑で動水圧も強く、空気含有量により浮くことができない場所がある河川では、あっというまに息ができなくなり沈んでいくであろうことが想像できます。
で、こちらの統計もご覧ください。

水難事故の約半数(49.1%)で水難事故救助が行われなかったのですって。これはのちに通報によって救助や捜索が行われたものを除く、初期の救助の有無の統計です。
水難救助がすぐ行われなった原因として、「溺れているのに気がつかなかった」「気がついたが救助できなかった」等があげられています。静かに溺れていたら、気がつかないことが多くても頷けますね。
大人と一緒に行っても全く頼りにならないことがわかっていただけたでしょうか?さらに残念なことに、大人と一緒に行っても、大人が2次災害にあっているという事実があります。

親や祖父母、引率者など大人が2次災害にあっています。

そして1次災害の場合より、2次災害の死亡率が高いのです。いかに大人が救助法を知らないかの現れではないでしょうか?
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
-
カムチャツカ半島と千島海溝地震との関連は?
7月30日にカムチャツカ半島沖で発生した巨大地震は、千島からカムチャツカ半島に伸びる千島海溝の北端域を破壊し、ロシアで最大4 メートル級の津波を生じさせた。同海域では7月20日にもマグニチュード7.4の地震が起きており、短期的に活動が活発化していたと考えられる。東大地震研究所の加藤尚之教授によれば、今回の震源域の歪みはほぼ解放されたため「同じ場所でさらに大きな地震が起きる可能性は低い」が「隣接した地域(未破壊域)では巨大地震の可能性が残る」とする。
2025/08/01
-
巨大地震後に噴火 カムチャツカ半島・クリュチェフスカヤ火山地震と噴火の関係は?専門家に聞く
7月30日に発生した、カムチャツカ半島沖を震源とするマグニチュード8.7の地震は、遠く離れた日本の太平洋沿岸一帯に、広く警報を発令させるほどの津波をもたらした。さらにカムチャツカ半島では地震発生後に、クリュチェフスカヤ火山が噴火した。巨大地震がこの噴火の引き金になったのか。地震と噴火の関係について、火山と地震の観測が専門で、調査のために約20回もカムチャツカ半島に足を運んでいる、北海道大学理学研究科附属地震火山研究観測センター教授の高橋浩晃氏に聞いた。
2025/07/31
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/29
-
-
-
「想定外」を乗り越える力コカ・コーラ ボトラーズジャパンが挑む、危機管理の再構築
コカ・コーラ社製品の製造、販売、自動販売機のオペレーションなどを手掛ける、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社は、2024年の能登半島地震を機に、危機管理体制の再強化に乗り出している。直接的な被害は免れたものの、系列他社の被災や支援要請の集中を通じて、情報伝達や意思決定、業務の優先順位といった多くの課題が顕在化した。同社は今、グローバル基準の危機対応フレーム「IMCR」の再徹底を軸に、全社一丸の再構築に踏み出している。
2025/07/21
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方