2024/11/02
防災・危機管理ニュース
東京都は、避難所における雑魚寝状態を解消するため、市区町村向け財政支援策を2025年度当初予算案に盛り込む方向で検討に入った。首都直下地震が発生すれば、避難所に身を寄せる人は最大で約200万人に上ると想定する中、避難所の生活環境を改善し、都市としての災害対応力を向上させる狙い。避難者のペット同行を可能にする取り組みも後押しする。
各地の災害では、被災者が体育館の床で雑魚寝する姿が見られるなど、生活環境の厳しさが課題となっていた。今年1月に発生した能登半島地震でも、同様の問題が生じた。このため都議会からも、都内での災害に備えて「避難所運営を改めるべきだ」との声が上がっていた。避難所の運営主体は市区町村だが、関連する指針は都が策定しており、既に改定作業を進めている。
都はこれまで、消火器の設置や携帯トイレの備蓄、避難所におけるWi―Fi(ワイファイ)環境整備を後押しするため、市区町村に補助をしてきた。25年度からは、補助金を充てられる対象事業を拡大。避難所での雑魚寝解消やペット同行、温かい食事の提供に向けた取り組みにも活用できるようにする。具体的にどういった経費を認めるかは、今後調整する。
既存の枠組みでは、消火器の設置促進は3分の1、携帯トイレの備蓄などは2分の1を補助してきた。25年度から支援対象となる事業についても、都の負担割合を検討する。
〔写真説明〕地震発生後、避難所で過ごす女性=2018年6月、大阪府高槻市
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/03
-
パリ2024のテロ対策期間中の計画を阻止した点では成功
2024年最大のイベントだったパリオリンピック。ロシアのウクライナ侵略や激化する中東情勢など、世界的に不安定な時期での開催だった。パリ大会のテロ対策は成功だったのか、危機管理が専門で日本大学危機管理学部教授である福田充氏とともにパリオリンピックを振り返った。
2024/11/29
-
-
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方