2024/11/14
防災・危機管理ニュース
【北京時事】中国広東省珠海市で起きた無差別殺傷事件。習近平政権は国家の「安全」を最重視してきただけに、まれに見る凶悪事件の発生に衝撃を受けているとみられる。最近は公共の場で無差別に人を傷つける事件が相次いでおり、治安対策の強化に乗り出す方針だ。
「関係部門は真剣に教訓をくみ取り、人民の生命、安全と社会の安定を全力で保障する必要がある」。習国家主席は12日に出した「重要指示」でそう強調した。中国の指導部が一つの犯罪を受けて指示を出すのは異例で、事件が及ぼす影響に神経をとがらせていることがうかがえる。
習政権は、社会の安定のため「安全」を最重視してきた。だが、それは言論統制やスパイ摘発など内外の「敵」の取り締まりが中心だ。景気低迷による生活苦や閉塞(へいそく)感など、社会安定の根幹となる人々の身近な不満への対応は後回しにしてきた感が否めない。今回の事件は、そのつけが回ってきたとも言える。
習氏の指示を受け、事件があった広東省は、さっそく関係部門を集めた会議を開催。省トップで習氏に近い黄坤明・省共産党委員会書記は、類似の犯罪を防ぐため、市民の家庭問題や近隣トラブル、土地や金銭を巡る争いなどの解決を図ると表明。さらに、さまざまな不満を抱える人々への管理を強化する方針も示した。
中国当局は、既に不満を持つ人物の監視に乗り出しているもようだ。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは10月、多発する無差別殺傷事件を受け、当局が村や町の幹部に犯罪を起こしそうな人物を洗い出すよう指示したと報道。強権的な政治手法を続ける習政権の治安対策は、社会の締め付け強化に向かう可能性がある。
〔写真説明〕自動車暴走事件が起きたスポーツ施設付近に停車する警察車両=12日、中国広東省珠海市(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

- keyword
- 中国
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/05/13
-
「まさかうちが狙われるとは」経営者の本音に向き合う
「困った人を助け、困った人を生み出さず、世界中のデータトラブルを解決します」。そんな理念のもと、あらゆるデータトラブルに対応するソリューションカンパニー。産業界のデータセキュリティーの現状をどう見ているのか、どうレベルを高めようとしているのかを聞きました。
2025/05/13
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/05/05
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方