2025/01/14
防災・危機管理ニュース
【シドニー時事】南太平洋の島国トンガで起きた海底火山の噴火災害から15日で丸3年となる。集団移住を含む復興策を進めてきたが、国内総生産(GDP)の4割近くに相当する累積債務が財政を圧迫している。最大の貸し手は中国で、返済が重荷となりそうだ。
2022年のフンガトンガ・フンガハアパイ火山の噴火とその後の津波で人口10万6000人の約8割が被災し、3人が死亡した。アタタ島などでは全住民が別の島へ移住を余儀なくされた。トンガ政府は約300戸の住宅再建を順次進めているが、資金繰りの厳しさから完成が1年以上遅れるケースも相次いでいる。
国際通貨基金(IMF)によると、24年10月時点でトンガの累積債務は4億9100万パアンガ(約320億円)で、対GDP比は38%。中国からは06年の内乱以降に融資を受け、30年までに約200億円の返済義務を負っている。返済は何度か先延ばしが認められた後、24年に本格化した。
オーストラリアのシンクタンク、ローウィー国際政策研究所は「国の規模からすると債務は天文学的数字だ。復興を妨げ、医療や教育、気候変動対応に必要な資金を確保しにくくしている」と指摘する。だが、債務不履行に陥れば中国に権益を握られる恐れがあるため、トンガ政府は期限内の完済を目指している。
こうした事情を酌み、日本政府はトンガへの無償資金協力に努めている。24年には計9億2000万円かけて消防車やトラック、建設機械などを供与。また、災害時に避難所として使える集会所の整備も支援している。
〔写真説明〕火山灰に覆われたトンガのノムカ島=2022年1月、ニュージーランド軍提供(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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