「イスラム国ソマリア州」の国際的攻撃性
国際テロの震源地となる懸念も
和田 大樹
国際政治学者 株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学法学部講師。専門分野は国際安全保障、国際テロリズム、経済安全保障など。大学研究者として安全保障的な視点からの研究・教育に従事する一方、実務家として海外に進出する企業向けに地政学・経済安全保障リスクのコンサルティング業務に従事。
2025/03/29
地政学リスクを読み解く
和田 大樹
国際政治学者 株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学法学部講師。専門分野は国際安全保障、国際テロリズム、経済安全保障など。大学研究者として安全保障的な視点からの研究・教育に従事する一方、実務家として海外に進出する企業向けに地政学・経済安全保障リスクのコンサルティング業務に従事。
トランプ政権が2025年2月1日にソマリアで実施した「イスラム国」(IS)系組織への空爆と、モロッコで摘発されたISサヘル州に関連するテロ未遂事件は、アフリカにおけるISの対外的攻撃性が依然として高いことを示している。これらの事例は、ISがアフリカ大陸で勢力を拡大し、国際社会への脅威を増大させている現実を浮き彫りにする。特に「イスラム国ソマリア州」と称する組織は、活動の多国籍化や資金支援の積極性を通じて、アフリカを越えたテロネットワークを構築しており、その対外的攻撃性が顕著である。ここでは、最近の事例を基に、「ISソマリア州」の活動とその特徴を詳しく見ていく。
2025年2月1日、トランプ大統領は第2次政権発足後初の大規模軍事行動として、ソマリア北部山間部の「ISソマリア州」拠点を空爆した。この作戦はソマリア政府と連携し、米軍の無人機と精密誘導兵器を用いて実行され、幹部を含む複数の工作員が殺害された。米軍は、この拠点が訓練キャンプと武器貯蔵庫を兼ね、国際テロ計画に利用されていたと推測している。トランプ氏はSNSで「米国や同盟国を脅かすテロリストを必ず見つけ出し、殺す」と強調し、民間人被害がないことを主張。国防長官も「脅威排除の準備が整っている」と正当性を訴えた。この空爆は、「ISソマリア州」が米国や同盟国への攻撃を計画しているとの情報に基づく。通信傍受や現地協力者の報告が作戦の契機となったとされる。
ソマリアは長年内戦と政治的混乱に苦しみ、中央政府の統治力が弱い地域では、「ISソマリア州」やアルカイダ系「アル・シャバーブ」が活動基盤を築いてきた。ISソマリア州は独自拠点を確立し、アル・シャバーブと競合しつつ勢力を拡大。両者は時に協力するが、支配地域や資金源を巡る対立も多い。トランプ第1次政権ではソマリア空爆が急増し、2019年にはアル・シャバーブ戦闘員100人以上が殺害されたが、過激派の完全制圧は達成できなかった。2025年の空爆は、ISソマリア州が再び国際的脅威として浮上したことへの警戒感の表れである。
地政学リスクを読み解くの他の記事
おすすめ記事
企業の副業解禁とコンプライアンス対策を支援
企業の副業解禁の流れが加速している。従業員は本業以外の労働を増やすことで、収入増が見込める。従業員が副業で獲得したスキルで、本業への貢献も期待できる。企業側にとっても、副業は採用活動に活用できる。業務発注から関係を深めてからの転職や採用後のミスマッチを防止する効果がある。一方で、副業の一般化に伴い、同業他社での競業や情報漏えい、ブランド毀損、過重労働など、副業リスクは増加している。フクスケ(東京都千代田区)は、企業の副業制度の運用支援に加え、副業コンプライアンス向上に関するデータを分析し、リスク診断サービスも提供している。代表取締役社長の小林大介さんに、企業の副業解禁がもたらす影響について話を聞いた。
2026/06/12
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/06/09
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/06/05
失われた危機意識を取り戻す災害図上訓練で自分ごと化 ミツバ
どのメーカー系列にも属さず、複数の自動車メーカーや1次サプライヤーに四輪と二輪用の電装部品を供給する独立系のサプライヤーであるミツバ(群馬県桐生市、日野貞実代表取締役社長)。近年、過去に考えられた災害対策が、途絶えつつあった。同社では“自分ごと化”で従業員の危機意識を高めるため、災害図上訓練を実施。参加者の意欲が高まり、対策用の新たな要望が集まるなど、確実な手応えを感じている。
2026/05/26
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方