2025/06/07
防災・危機管理ニュース
【ニューデリー時事】インドが「対テロ」を名目に隣国パキスタン領内を攻撃してから7日で1カ月。米国の仲介もあり、武力衝突は4日間で収まったが、印パ両国はその後も国内外で情報戦を展開している。
5月10日の停戦合意後、インドは自国の立場への支持を訴えるため日本を含む30カ国以上に超党派議員団を派遣した。6月上旬の米国訪問団を率いたシャシ・タルール下院議員はインドメディアに「テロとの戦いに対する無条件の連帯と軍事作戦の必要性への完全な理解を得られた」と手応えを語った。
国内では、パキスタンのためにスパイ行為を働いた容疑でユーチューバーを相次いで逮捕するなど、取り締まりを強化している。
パキスタンも議員団を各国に送った。パキスタン政府が武力衝突のきっかけとなった4月22日のテロを支援したとのインド側の主張について、根拠がないと改めて主張。印パが領有権を争うカシミール地方を巡る問題解決に国連の仲介を求めた。
インドを返り討ちにしたとの国内向けの宣伝にも余念がない。「比類ないリーダーシップで歴史的勝利を達成した」(首相府)と軍部トップであるムニール陸軍参謀長の功績をたたえ、「元帥」に昇格させた。
南西部バルチスタン州で5月下旬に起きた通学バスの爆破テロでは、シャリフ首相が「インドの支援を受けたテロリストによる攻撃」と主張。インドこそがテロ組織を支援しているとアピールした。
テロ以降、印パが互いに打ち出した国境閉鎖や貿易停止といった措置が解除されるめどは立っていない。特にインドが一方的に宣言したインダス川水資源利用協定の履行停止は、下流に位置するパキスタンにとって死活問題。履行再開を求めインド側に対話を呼び掛けている。
しかし、インド外務省のジャイスワル報道官は「パキスタンが国境を越えたテロへの支援を確実かつ不可逆的な形でやめない限り、(協定は)停止したままだ」と述べ、対話に応じる姿勢を見せていない。
〔写真説明〕来日したインドの超党派議員団ら。中央は岩屋毅外相=5月22日、東京(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/09/05
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/02
-
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方